からだ

理学療法士に教わる、ビギナー向け腰痛体操。

  • 撮影・黒川ひろみ モデル・くらさわかずえ スタイリング・高島聖子 ヘアメイク・宮島香奈子 イラストレーション・松元まり子 文・山下孝子

肩甲骨浮かせ

(基本メニュー)1回12秒×10回

仰向けに寝て、肩甲骨が床から離れるぐらい上半身を起こす体操です。
曲げた膝をさわろうとするように、両手を伸ばして上半身を起こします。
息を吐きながらお腹に力を込めて上半身を6秒かけて起こし、息を吸いながら6秒かけて上半身を倒します。
基本メニューに慣れた場合は、両手を伸ばさずに胸の前で交差させるとレベルアップになります。

(POINT 1)
首はあまり曲げず、目線は曲げた膝に向ける。

(POINT 2)
肩甲骨が床から離れたら、上半身を起こすのをやめる。上半身を起こしすぎると背筋が鍛えられてしまうので気をつける。

(POINT 3)
意識してお腹に力を込め、上半身を起こす時に息を吐く。

(POINT 4)
伸ばした手で膝をさわろうとする。なお、左右の膝は10センチから肩幅ほど広げても大丈夫。

(痛くて基本メニューは難しいとき)1回12秒×10回

慢性期でもやはり腰の痛みがひどい時は、上半身を起こさず、おへその上にのせた両手をのぞき込む姿勢でお腹に力を込めましょう。息を吐きながら6秒力を込め、息を吸いながら6秒かけて力を抜きます。

※呼吸の順番は基本メニューと逆です。

(腰が曲がっているとき)

加齢によって腰が曲がっている場合は、腹筋が緊張により収縮しているため、腹筋を鍛える運動ができません。しかし、硬めの布団にうつ伏せになって腹筋を伸ばすように意識するだけで、腹筋を鍛えることができます。そのままうつ伏せになるのがつらい場合は、お腹の下にクッションや枕を差し込んであげましょう。

上体ねじり

(基本メニュー)1回12秒×左右各10回

仰向けに寝た状態から、斜めにひねりながら上半身を起こすことで、左右の脇腹にある腹斜筋を鍛えます。
息を吐きながらお腹に力を込めて上半身を6秒かけて起こし、息を吸いながら6秒かけて上半身を倒します。
ただし、あくまでもこの体操は腰痛の予防のためにするもので、慢性期であっても腰痛がある時は行わないようにしましょう。

(STEP 1)
仰向けの状態で膝を曲げ、両手を頭の下で組む。足を伸ばした状態でこの体操を行うと、腰を痛めるので必ず膝は曲げること。
 ↓

(STEP 2)
息を吐きながらお腹に力を込めて、右ひじを左の膝(左ひじは右の膝)につけるつもりで、上半身をひねりながら6秒かけて起こす。
 ↓

(STEP 3)
肩甲骨が床から離れたら動きを止め、今度は息を吸いながら6秒かけて上半身を床に戻す。終われば、反対側も同様に行う。

理想

実は、右ひじが左の膝(左ひじは右の膝)にくっつくのがこの体操の理想です。しかし、年配の方はそこまで上半身を起こすのが難しいため、無理をせず、肩甲骨を床から離すのを目標にしましょう。

お尻浮かせ

(基本メニュー)1回12秒×10回

仰向けに寝て、お尻を床から10センチほど持ち上げることで大臀筋を鍛える体操です。
両膝を曲げて、腰を床に押し付けるように意識する一方で、肛門をしめながらお尻に力を入れて持ち上げます。
お尻を浮かせた状態で息を吐きながら6秒静止し、息を吸いながら6秒かけてお尻を下ろして床につけましょう。

(POINT 1)
両手は組んでお腹の上に乗せる。

(POINT 2)
両膝は10センチから肩幅ほど広げる。また、足の裏は常に床につけておく。

(痛くて基本メニューは難しいとき)1回12秒×10回(左右で1回)

(STEP 1)
仰向けに寝て、片足を10センチほどの高さの台(厚めの辞書や雑誌でもOK)に乗せる。両手と台に乗せていないほうの足は自由な形で床に置く。
 ↓

(STEP 2)
息を吐きながら、台に乗せた足を台に押し付けるように、同じ側のお尻を床から少し浮かせて3秒静止。息を吸いながら3秒かけてお尻を床に下ろす。反対側のお尻も同じようにして浮かせる。

四つん這いバランス

(基本メニュー)1回10秒×左右各5回

四つん這いになって対角線上の腕と足を伸ばす体操で、背中の骨ひとつひとつにつながっている多裂筋を鍛える効果があります。
息を吐きながら腕と足を上げてその姿勢を5秒保ち、息を吸いながら5秒かけて腕と足を床に戻します。
高齢者の場合は、腕と足は上げることに専念して、まっすぐ伸ばしたり高く上げたりする必要はありません。

(STEP 1)
四つん這いになり、腰と肩が床に対して直角になるようにする。顔は正面を見る必要はなく、斜め前を向いていればよい。
 ↓

(STEP 2)
自分が上げられる高さまで、息を吐きながら右腕と左足(左腕の場合は右足)を上げ、5秒静止する。息を吸いながら5秒かけて腕と足を下ろしたら、次は逆の腕と足を同様にする。

高齢者にとって上げすぎ伸ばしすぎはかえって危険
この体操を「足を床に水平になるまで上げる」と紹介している体操やストレッチの本もありますが、年齢を重ねると足を上げたり伸ばしたりするのが難しくなります。もし足を上げられても、バランスを崩す危険が出てくるので、おすすめできません。

田中尚喜

田中尚喜 さん (たなか・なおき)

理学療法士

岩手リハビリテーション学院を卒業後、東京厚生年金病院(現・JCHO東京新宿メディカルセンター)リハビリ室勤務。現在はリハビリテーション士長。1994年にローマで開催された世界水泳選手権には、日本選手団のチームトレーナーとして帯同。臨床の経験を活かし、『図解 百歳まで歩く』(幻冬舎)、『100歳まで歩ける! スクワット健康法』(宝島社)、『正しく歩いて、不調を治す。』(クロスメディア・パブリッシング)など、理学療法の啓発・普及に貢献する著書の執筆や監修を手掛けている。

※プロフィールは雑誌掲載時の情報です。

『Dr.クロワッサン 脊柱管狭窄症、骨粗しょう症、ぎっくり腰もスッキリ! 腰痛の新常識』(2020年8月27日発行)より。

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