からだ

口臭や目の疲れ…50代以降は視力、口腔内の悪化に注意。

〝何となく不調〟が起きやすい更年期以降。
女性の体の中では何が起きている? 原因と対策を内科医の常喜眞理さんに聞いた。
  • イラストレーション・浅妻健司 文・小沢緑子

視力、 口腔内の悪化

不快な症状

□ かすんで見える
□ 朝起きたとき口の中がネバネバする
□ まぶしさを感じる
□ 歯磨きのとき出血する
□ 目が疲れやすい
□ 若い頃より口臭が気になる

年齢が上がるごとに注意が必要。

「50代以降は、目、歯などの感覚器官のトラブルも増えます。徐々に進行するので気づきにくく、定期的に検査をすることが必要」

特に目は注意。年齢が上がるごとに白内障、緑内障が増え、「白内障は日帰りでもできる手術で改善するようになりましたが、緑内障は悪化すると失明する場合も。早期発見が大切」。

歯と歯茎の健康が損なわれる歯周病は、口腔内だけでなく、全身の健康を左右する問題。

「50代になると唾液量が減って口の中の自浄能力が低下するため、歯周病菌が繁殖しやすくなります。歯周病菌は歯と歯茎の隙間に歯周ポケットを作って奥へ入り込もうとするのですが、口腔内の血管に入り込むと全身を巡り、血管に炎症を起こして血流を詰まらせ、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすリスクも」

予防は、歯周病菌の繁殖を抑制することに尽きる。歯磨きは起床時、就寝前に加え、毎食後も行うのが理想。ただ、毎食後がムリな場合は就寝前だけはフロス磨きも加えて徹底。

「日常のブラッシングだけでは不充分なため、3カ月に1回は歯科で歯石クリーニングを」

【要注意!】白内障、緑内障、歯周病

目の水晶体が白く濁って見えにくくなる〈白内障〉、視野が徐々に欠けて見える範囲が狭くなる〈緑内障〉。早期発見のために、眼科などで定期的に眼底検査、眼圧検査を。〈歯周病〉は痛みなどの自覚症状はないが、歯を失う原因の第1位。歯と歯茎の間の清掃が行き届かないことが主原因。歯科で定期的にクリーニングを。

40代、50代は心も体も寛容性がなくなっている。気になる症状が2週間以上続いたら、迷わず受診を。

病気というほどではないけれど、日常的に小さな不快、不調な症状が目に見えて増えていく更年期以降。

「20代、30代と年齢が上がるにつれ、体の回復を促す成長ホルモンの分泌が低下していきます。さらに、更年期になると追い打ちをかけるように、女性ホルモンの分泌が激減。次第にムリが利かない体になってきますし、不定愁訴と呼ばれるさまざまな不快な症状が起こりやすくなります」と、女性の体の健康を守る“家庭医”として提言も行う、内科医の常喜眞理さん。

閉経を迎える50代になると、今度は“加齢”の影響も大きくなる。

「加齢で体や脳が老化し始めると、外部からくる変化や刺激に素早く対応する体の『寛容力』も次第に失われていきます。若い頃は放っておいてもおさまった症状も体が耐えられなくなり、症状が頻繁に起こったり長引いたりするようになるのです」

ただし、加齢による体の変化を否定的にとらえる必要はない。

「遅かれ早かれ、誰にでも加齢による老化は訪れます。その変化を慌てず恐れず受け止めて、体の次のモードに向けて備えていけばいいのですから」

対策は、どんな不調も生活習慣を整えるためにバランスのいい食事、適度な運動、充分な睡眠をとることが基本。

「ただ、小さな不調といっても2週間以上症状が続く場合は、クリニックを一度受診を。症状によっては検査をしたり、長引かせないように薬などを使って対処していくことができます」

常喜眞理

常喜眞理 さん (じょうき・まり)

「常喜医院」院長

内科、皮膚科の診療のほか、慈恵医大新橋健診センター診療医長、産業医として活躍。著書に『オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』等。

『クロワッサン』1104号より

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