年齢差関係なく、友人を持つ秘訣は、自分の気持ちに素直にコミュニケーションをとることなのかもしれない。
「年齢とか立場、役割を考えてしまうと、ややこしくなりそうですよね。会社などは、そういう年功序列のルールがまだ必要なのかもしれませんけれど」
落語や俳句、大学と40代半ばから自身の世界を広げて、豊かなワークライフバランスを築いているように見える。近年は、家庭菜園やピアノも始めた。ただ、小林さん自身は「挑戦した」とか「飛び込んだ」というような力みを感じていない。眩しいくらい軽やか。
「そんなに軽やかでもないですよ(笑)。ずっとやりたいと思っていたことがいくつかあって、そろそろやらないと時間がないんじゃない? と始めたに過ぎません。つまり、もたもたしていたってことです(笑)」
趣味を続ける根本には、小林さんの探究心が下支えしているよう。
「20〜30代は仕事が探究の対象だったと思います。仕事に関連するあれこれを追求することに一生懸命でしたね。ほかに興味のあることが出てきても、忙しくなると続けられなくなって挫折したりしていましたから」
楽しみ方もただの「fun」ではない。俳句も、句を詠むこと自体より句会が楽しいという。その理由が独特だ。
「お題に合わせて句を提出して、みんなで選句をします。無記名なので、誰がどれを詠んだのかはわからないし、俳句の先生も新人も同じ土俵に上げられるんです。先月あんなに高得点だったのに今月は散々ということもあり、天狗になりようがない。自信作が誰にも選ばれなくて落ち込んだり。人を褒めるとか、自分はダメだと思い込まないとか、人間力が鍛えられる場でもあるんです」