からだ

楊さちこさんに教わる脱・低体温。理想の食材で「食べる冬支度」の知恵。

  • 撮影・青木和義 スタイリング・中根美和子 ヘア&メイク・安藤洸飛(新井健生事務所)文・知井恵理

秋冬に摂りたいのは「白」と「黒」。寒性食品も温めて食べればOK。

食材の色は、中医学で特に重視される観点のひとつ。

「食材の色は『青』『赤』『黄』『白』『黒』の五色に分類され、それぞれ『肝』『心』『脾』『肺』『腎』の五臓に働きかけると
考えられています。たとえば、冬に溜まった毒を排出したい春には、ほうれん草、春菊などの肝蔵の働きをサポートする『青』の食材を意識して、多めに摂るといいです」

秋冬に積極的に摂りたい色の食材も。

「日ごとに寒さと乾燥が増す秋は、肺や肌の乾燥によるトラブルが増えがちです。そのため、肺や肌にうるおいを与える『白』の食材がいいですね。秋に収穫を迎える豆類やきのこ類、芋類もおすすめです。また、体が寒さにさらされる冬は、冷えを嫌う腎が消耗します。体を温める『黒』の食材や、地面下でエネルギーを蓄える根菜類を多めに取り入れましょう。ほうれん草や春菊といった冬の青菜は、風邪予防や血液浄化が期待できますよ」

それなら、と張り切って季節のおすすめ食材だけを食べていると栄養が偏ってしまうので、バランスが肝心。

「なにより楽しくないでしょう?(笑) 4つの大原則どおり、食事は楽しまなくちゃ。なので、五色の食べ物をまんべんなく取り入れながら、その時季の体調をサポートする色の食材を多めに摂るというのが賢い食べ方です」

好みの食材が『寒性食品』だったとしてもがっかりすることはない。

「煮物や炒め物、スープなどの温かい料理にして食べれば、『寒性食品』でも体は温まります。また、しょうがやねぎといった体を温める薬味をプラスするなど、冷やさない工夫をすれば大丈夫。逆に言うと『熱性食品』も冷やして食べるとせっかくの温め作用も働きづらいのです」

甘味や飲み物も上手に取り入れ、できることから「始めて、続ける」。

ちなみに“食養生”では甘味もおとがめなし、というのがうれしい。

「黒砂糖かはちみつを使ったスイーツなら大丈夫です。ただし、温めるかせめて常温で食べるようにしてください。食物繊維が豊富で体も温めてくれるドライフルーツもおすすめですが、無添加・無加糖・無漂白・ノンフライのものを選ぶようにしましょう」

料理を作るのが難しいときは、温かい飲み物を。楊さん考案の、ドライフルーツを煮出したホットフォンダンウォーターは、お茶感覚で飲めて、食事にも合わせやすいやさしい味わい。

「今回、右のコラムで紹介している『心の若返りMIX』レシピは、冷えて固まった心と体をほぐし、気持ちを明るく前向きにしてくれます」

“食養生”の最後の極意は、できることから「始めて、続ける」こと。

「私自身、産後20kg以上太ったときに、イライラや巡りの悪さで体が固まったのが原因と気づき、“食養生”を含めた“体温めファースト〟の生活を心がけました。すると、少しずつ心と体がゆるみ、1年半後にはストレスも脂肪もなくなっていたのです。漢方の世界では100日=1サイクルなので、まずは3カ月強、続けてみてください」

[Column] 「心の若返りMIX」、ホットフォンダンウォーター。

【材料(2人分)】 
クコの実4粒、ドライ龍眼5個、白レーズン大5粒、なつめ1/4個

【作り方】
すべての材料を鍋に入れて、700mlの水を注いで火にかける。沸騰したら弱火にし、約20分煮出して出来上がり。飴湯のような甘さの懐かしい味。煮出したものを丸ごとミキサーにかけ、ホットスムージーとして飲むのもよい。

*楊さちこさんの「香港薬膳スープインストラクター資格取得講座」(キャリアカレッジジャパン)が12月からスタート。

『クロワッサン』1008号より

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