からだ

楊さちこさんに教わる脱・低体温。理想の食材で「食べる冬支度」の知恵。

  • 撮影・青木和義 スタイリング・中根美和子 ヘア&メイク・安藤洸飛(新井健生事務所)文・知井恵理

鍋にスープと、温かい料理が恋しくなる季節。もちろん、「脱・低体温にも温かい食事は欠かせません」と楊さん。

「中医学の“食養生”を取り入れ、寒さに負けない体に整えましょう!」

中国には「薬補不如食補(やくほはしょくほにしかず)(薬療法は食事療法に及ばない)」ということわざがあり、一般市民の間でも医食同源を実践する生活が根付いているほど。

「自然治癒力を高める“食養生”を日常生活で行うには4つの大原則があります。1.楽しみながらよく噛んで食べること、2.手作りの料理をいただくこと、3.食材の性質を見分けること、4.旬の食材を摂ること、です。どんなに栄養バランスがよくても、楽しみながら食べなければ“よい食事”とはいえませんし、よく噛まないと吸収もされにくくなります。手作りの料理は、栄養の偏りと添加物の使用を防げます。食材の性質は、体を温めるものと冷やすものに分かれますが、見分け方は後ほど説明しますね。そして、旬の野菜や果物は、その季節のエネルギーをたっぷり蓄えていて、その時季における体を癒やしてくれます。これら、“食養生”の4つの大原則は、どんな食事のときもお忘れなく!」

体を温める食材と冷やす食材は、「色」で見分けられる!

食材の性質の見分け方とは?

「中医学では、体を温める性質がある食材を『熱性食品』、体を冷やす性質のものを『寒性食品』と分類します。暑い時季にきゅうりやトマトなどの『寒性食品』を食べるとほてりが静まります。逆に、寒い時季ににんにくやかぼちゃなどの『熱性食品』を食べると体が温まる。性質を見分けて、体調に合った食材を上手に選びましょう」

実は、中医学の知識がなくても、食材の性質は見分けられる。

「まずは色です。基本的に、黒、赤、オレンジといった暖色系の食べ物は熱性。青、緑、白などの寒色系の食べ物は寒性です。次に、水分と固さ。たとえば、そばやスパゲッティのような水分が少なくひきしまっているものは熱性、水分が多くやわらかいうどんのようなものは寒性です。最後に産地です。熱帯で取れるものは体を冷やす『寒性食品』が、寒い地方で取れる食材は体を温める『熱性食品』が多いです。もちろん例外もありますが、おおよその区別はできますので、食品を見分けるときの参考にしてみてください」

食材の色で知る栄養のチカラ。

●青(緑)
[肝臓の血液循環を促し代謝を促進。疲労回復や免疫力強化の作用も。]
ほうれん草、春菊、アスパラガス、菜の花、キャベツなど。肝臓の働きをサポートするので、冬に蓄積した疲れを排出したい春に摂りたい。

●赤
[血液を造る働きを補い、血行を促進。心臓機能を高めて動悸を予防。]
牛肉、レバー、まぐろ、小豆、赤ワイン、にんじん、トマトなど。体にこもった熱を発散させる働きもあるので、夏にもおすすめ。

●白
[肺機能を強化するほか、胃腸機能の改善にもよい作用をもたらす。]
チーズ、れんこん、大根、かぶ、玉ねぎ、白きくらげ、梨など。皮膚粘膜や肺にうるおいを与えるので、空気が乾燥し始める秋に最適。

●黒
[腎機能を高め、排泄作用を強化する。老化防止や滋養強壮にも。]
黒砂糖、黒豆、そば、黒ごま、黒きくらげなど。体を温めて巡りをよくする働きがあり、冬には欠かせない食材といえる。

●黄
[脾臓の機能を高めて新陳代謝を活発化。気力の衰え防止にも作用。]
しょうが、みそ、大豆、かぼちゃ、とうもろこしなど。環境の変化でストレスを受ける脾臓のために、季節の変わり目には多めに。

まずは五色の食材をバランスよく食べるのが基本。さらに、季節や体調に合ったおすすめ食材を摂るのが正しい食養生術。

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