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知っておきたいばぁばの知恵。
塩に頼らない、味わい深いお漬物の作り方。

NHK『きょうの料理』でおなじみの、ばぁばこと御歳90歳の現役料理研究家、鈴木登紀子さん。今日はお漬物の作り方を教わってきました。

 
「塩や調味料は本当にいいものをぜひ買ってみて くださいね。使うのはほんのわずかの量、それでとてもおいしくなりますから」と、ばぁば。

「塩や調味料は本当にいいものをぜひ買ってみて
くださいね。使うのはほんのわずかの量、それでとてもおいしくなりますから」と、ばぁば。

ばぁばのエイジレスなパワーの源はやはり日々の食事にあるのでしょうか。もしかしたら、独自の減塩方法があるのかもしれません。

「それじゃあ、お野菜のもみ漬けを作ってみましょうか。お塩は控えめにして2%にしましょうね。それでも充分においしいもみ漬けになるのよ」
 
そう言ってばぁばはキャベツ、人参、みょうが、青じそなどの野菜をザクザクと刻み、大ぶりなボウルに入れます。

そして塩壷からふたつかみ分の塩をさらさらとふりかけ、手のひら全体を使い、ぎゅっぎゅっと野菜を揉んでいきます。

次第に水が上がってくると、体重をかけるようにしてさらに強く野菜を揉込んでいきます。野菜から充分に水が出て、くったりとした質感になると、

「これはね『拝み絞り』っていうのよ。親の仇ほど強く絞ってくださいね」

と、その場のスタッフを笑わせながら、野菜を両手ですくうと拝むような格好で渾身の力で水分を絞り切りました。

追って改めて分量を量ってみると、使った野菜は合計で約700g、ばぁばの手で塩ひとつかみはおよそ大匙½だったので、ふたつかみで大匙1(15g)。つまりちょうど約2%の塩分濃度に仕上がっていたのです。お見事!

「最初は秤を使って量ってもいいの。自分の手の加減がわかるようになりましょうね」
 
今回は漬物の代わりになる塩分控えめの副菜を、他にも3品習った。どれもそのまま食べてもおいしいが、アレンジも自由自在です。

「きゅうりのたて塩」は、蛇腹に切り目を入れたきゅうりを使うことで、まろやかな塩気に。セロリやプチトマト缶詰のキドニービーンズなどと一緒に黄身酢で和えれば、華やかな和風オードブルといった一品になります。

塩分をほとんど使わない「玉ねぎの酢漬け」は、皮を少し残したりんごの薄切りと合わせてオリーブオイルとマスタードのドレッシングで和えると美味。「みょうがの酢漬け」も塩分はほとんどない。美しい発色を生かして、魚料理の前盛りなどにも重宝します。

さっぱりとして味わい深い、野菜の漬物。

みょうがの酢漬け

材料(作りやすい分量) みょうが3本、酢大匙3、だし汁または水大匙3、砂糖大匙⅔、塩適量
作り方 
1.みょうがは水洗いをして縦半分に切る。
2.鍋に熱湯を用意しみょうがを放し、すぐにザルにあげて塩大匙1½(色出し用)をまぶし、6~7分おいて水洗いをする。
3.容器に2を入れ、酢、だし汁、砂糖、塩小匙¹⁄₆を加えてひと混ぜする。
4.冷蔵庫で保存する。

みょうがの酢漬け

美しい発色を生かして、魚料理の前盛りなどにも重宝するみょうがの酢漬け。

 

キャベツのもみ漬け

材料(作りやすい分量) キャベツ500g、人参50g、きゅうり100g、みょうが70g、青じそ10枚、塩15g
作り方 
1.キャベツは1枚ずつ剥がして水洗いし、芯の部分を切り取って3~4枚重ね、2~3㎝角程度のざく切りにする。人参は皮を剥いて薄い短冊切りにする。きゅうりは薄い小口切りにする。みょうがは厚さ2~3㎜の小口切りにする。青じそは中央の筋を取ってくるくると巻き、千切りに。
2.大きなボウルに1の野菜を入れて塩を振り、初めは弱く、だんだんと強く揉んで全体がしんなりとして水気が出てきたら、両手で強く絞って別の容器に移す。冷蔵庫で冷やしてもおいしい。

”拝み絞り”でしっかり水分を絞り切る。

「拝み絞り」でしっかり水分を絞り切る。

 

きゅうりのたて塩

材料(作りやすい分量) きゅうり2本、塩12g
作り方 
1.きゅうりは天地を落としてまな板に横に置き、直径の⅔ほどまでななめに包丁を細かく入れる。きゅうりを裏側になるように半回転させて、同じように包丁を入れる。
2.保存容器に2カップの水と塩を入れ、3%の塩水を作る。
3.1のきゅうりを浸す。
4.冷蔵庫に入れ、数時間おく。

ほんのり染みた塩気が魅力。蛇腹に入れた包丁に遊び心があり、見た目も楽しい。

ほんのり染みた塩気が魅力。蛇腹に入れた包丁に遊び心があり、見た目も楽しい。

 

玉ねぎの酢漬け

材料(作りやすい分量) 玉ねぎ2個、塩小匙⅔、酢1カップ、砂糖大匙1
作り方 
1.玉ねぎは皮を剥いて芯を取り、薄切りにする。
2.平らなザルに玉ねぎを広げて塩と砂糖を振り、30分ほどおく。
3.容器に2を入れ、酢を加えてひと混ぜする。
4.冷蔵庫で保存する。

皮を少し残したりんごの薄切りと合わせてオリーブオイルとマスタードのドレッシングで和えると美味。

皮を少し残したりんごの薄切りと合わせてオリーブオイルとマスタードのドレッシングで和えると美味。

90歳の料理研究家、鈴木登紀子さんが教える塩分過多にならない優しい味噌汁の作り方はこちらから。
https://croissant-online.jp/topics/38773/

 
 
 

◎鈴木登紀子さん ●日本料理研究家/1924年、青森県八戸生まれ。専業主婦から46歳で料理研究家デビュー。NHK『きょうの料理』に40年以上にわたり出演。近著に『「ばぁばの料理」最終講義』(小学館)。

『クロワッサン』911号(2015年10月25日号)より

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