旅の感動をイラストでおすそわけ。記憶に残る、最高の目的地
文・オカモトノブコ
群馬・沼田市に移築された奇跡の洋館を訪ねて
小栗左多里さん 漫画家
「旧久米邸は、本来なら解体されていたはずなのに生き残った、運のいい建物です。行けばあやかれるかもしれません!」
異文化体験コミックエッセイの元祖『ダーリンは外国人』シリーズで人気の漫画家・小栗左多里さん。今回は、群馬県沼田市の魅力と楽しみ方をたっぷり教えてくれた。
「まずおすすめは、中心部にほど近い〈大正ロマンエリア〉。沼田市にゆかりのある明治末~大正期の歴史的建造物4棟を移築、趣のある街並みを散策することができます」
小栗さんとのご縁のはじまりは、沼田出身の実業家・久米民之助の旧邸宅〈旧久米家住宅洋館〉との出合いから。鉄筋コンクリート造りでは国内最初期の住宅で、当時、西欧で流行した幾何学的な外壁の装飾デザインなどに特徴のある、建築史上でも貴重な建物のひとつだ。
「もともと東京・代々木上原にあった洋館で、実は既に取り壊しが決まっていたんです。それを近所の方が何とか救いたい、と始めた活動をたまたまSNSで知り、共感してお手伝いを始めたのがきっかけでした」
建築の専門家やメディアへの拡散などで保存活動の輪は広がり、調査を進めるうちにその歴史的な価値も明らかに。徳川家の迎賓館として使われていた過去もあったという。
「さらにリサーチするうち、久米民之助さんの出身地である沼田市が、偶然にも歴史的建造物の保存収集をしていることが判明。そして奇跡的にも、久米邸が〈大正ロマンエリア〉に空いていた一区画にちょうどすっぽり収まるサイズだったんです」
多くの人々の尽力によって不動産業者や行政側の賛同も得られ、「この移築プロジェクトは本当に奇跡の連続でした」と小栗さん。完成式典で初めて沼田市を訪れ「誰かが勇気を持って声を上げれば、奇跡も起こるんだと感動しました」と振り返る。
エリア内ではこのほか、最後の沼田藩主の次男・土岐章子爵が建築した〈旧土岐家住宅洋館〉のドイツ風デザインにも往時がしのばれる。津田塾大学の初代学長らが建てた〈沼田教会紀念会堂〉、当時の大工が和風建築の技術を駆使した「擬洋風建築」の〈旧沼田貯蓄銀行〉など、歴史的な見どころもいっぱいだ。袴と着物の着付けができる〈大正和服〉体験もあり、漫画『はいからさんが通る』の主人公になった気分で建物の周辺や街歩きをするのも楽しい。
また周辺には、異文化トリップを楽しめるこんなおすすめスポットも。
「沼田市のお隣、高山村にはスコットランドから移築・復元された〈ロックハート城〉という古城があります。広大な敷地には石造りの教会や庭園などがあり、中世ヨーロッパの街並みにいるような気分に」
ほかにも「東洋のナイアガラ」とも呼ばれる〈吹割の滝〉は、岩盤から豪快に水が流れる様子が迫力満点。片品渓谷の美しい自然に包まれた〈老神温泉〉は源泉の豊富な湯量が特徴で、日帰り温泉も充実。見どころ・遊びどころ満載のエリアなのだ。
「沼田市には果樹園もたくさんあって、フルーツ狩りを組み合わせても。桃やぶどう、この先の季節には沼田生まれのリンゴ〈ぐんま名月〉も、とっても美味しくておすすめです」
真夏の西伊豆で、海遊びと絶景の夕焼けを
小林マキさん イラストレーター
有名なシュノーケリングスポットが集まる西伊豆。「フラッと出かけて海にぽちゃんと入る、そんなお気楽旅を満喫しています」
歴史と人情あふれる、佐渡島の魅力に夢中
木下綾乃さん イラストレーター
「佐渡島には独特の魅力があって、定番の佐渡金山や北沢浮遊選鉱場跡も楽しかったです。この夏もまた訪れる予定!」
大阪の老舗で味わう、口福のみたらし団子
まめさん コミックエッセイ作家
人気のみたらし団子は1本140円。「素朴でシンプルな味が好みでした。次回はきんつばや酒饅頭も食べてみたいです」
東北縄文遺跡・時空を超えるロマンの旅
タムラフキコさん イラストレーター
タムラさんが訪れた秋田県・大湯環状列石は、ユネスコが「北海道・北東北の縄文遺跡群」の一部として世界遺産に登録。
瀬戸内の島へ、アートと癒やしを求めて
大石さちよさん イラストレーター、絵本作家
「瀬戸内の静かな海は、眺めるだけで本当に癒やされます。最高です」と大石さん。直島・豊島への旅は何度もリピート中。
愛媛・伊予灘ものがたりの車窓から夕陽を眺める
やすこーんさん 漫画家、文筆家
鉄道トラベルの達人・やすこーんさん。「予讃線を走る観光列車の4コースのうち、夕陽が見られるのは“道後編”のみです」
『クロワッサン』1169号より
広告