脳を若返らせる耳マッサージが、認知症予防にも効果を発揮!?
認知症予防医が、いつでもどこでもできる耳を揉むだけで効果絶大という、脳活を教えてくれました。
撮影・青木和義 イラストレーション・クリヤガワレイ
血流をよくすることで、脳はイキイキする!
物忘れがひどくなったり、言葉が出てこなかったり。そんなとき気になるのが認知症。今や国内の認知症予備軍は500万人を超えるといわれる。しかし、認知症予防専門クリニック院長の広川慶裕さんは認知症は予防できると語る。
「脳は死ぬまで成長します。加齢に伴って脳が縮むと思っている人もいますが、その真偽は不透明。50代、60代でも進化しますから、諦めることはない」
そもそも認知症はどんな病気なのか。
「40代を超えると、脳の神経細胞にとって毒のような存在・アミロイドβペプチドという異常なタンパク質が脳に蓄積し始める。これが認知症発病の原因と考えられています。そもそも脳は自浄作用を持ち、アミロイドβペプチドを無毒化・排除できますが、40代を超えると細胞内のミトコンドリアの働きが悪くなり、エネルギーを作れなくなる。そうなると、脳がまるで電池の消耗が早くなったスマートフォンのようにすぐに疲れてしまい、その日にたまった老廃物を処理できなくなります」
そしてこの異常なタンパク質が10年、20年とかけて脳内にいっぱいになってしまうと、いよいよ認知症の症状が現れてしまう。こうなると改善が難しくなるので、早めの予防が重要に。そこでキーワードになるのが“血流”だ。
「血流をよくして、脳にエネルギーを届けて活性化させる。これに効果的なのが、“耳マッサージ”です。耳には、体全体につながる12全ての経絡があります。経絡とは中医学の考えで、“気”が通る道。つまり耳を揉むだけで全身の血行促進につながるのです。始めてみると痛気持ちいいと感じ、全身がポカポカするはず。ぜひ楽しみながら行ってください。楽しいという感情も、脳にとってはいい刺激。大歓迎ですから」
軽度認知障害チェック
□ 最近、同じことを言ったり聞いたりすると周りから言われる。
□ 昨日の夕飯の内容が思い出せない。
□ 別の仕事を始めると直前にしていた仕事のことを忘れてしまう。
□ 最近、段取りが悪くなり、まごつくことが増えた。
□ 長年の趣味が面白くなくなったり、やめたりした。
□ 何をするのも邪魔くさく、億劫になった。
□ 最近、ニュースや新聞、雑誌に関心が薄れている。
□ においや味がよくわからない。
□ レジではお札を出してしまう。小銭が増えた。
□ 睡眠の質が悪くなった(寝つきが悪かったり、熟眠感が減った)。
広川さんの病院でも使う認知症予備軍である軽度認知障害(MCI)を診断するテスト。3つ以上チェックがついたら、軽度認知障害の可能性が。
耳マッサージのやり方
■ 1〜3分くらいの短時間でOK。
■ 頭がぼーっとする時、寝起きなどに行う。
■ 覚醒するので寝る前は避ける。
■ 特定のツボは意識せず耳全体を揉む。
では、耳マッサージを始めよう。耳には200を超えるツボがあるので、耳の後ろ側、外側・内側など全体を刺激することが大切。そのために4つの動きを順に行う。
「痛みを感じる場所があれば、無理のない程度に重点的にほぐしましょう。寝起きや、頭が疲れている時に行うと、シャキッとスイッチが入ります」(広川さん)
1.耳折り
全体を刺激し、血流を一気にアップ。
手の小指側を使い、耳を後ろから押さえて前に折る(ギョウザのような形に)。次に手の親指側を使い、耳を上から下に押さえて折る。最後に手の小指側を使い、耳を下から上に押さえて折る。それぞれ3〜5秒程度。左右で行う。
2.耳もみ
ツボを細かく刺激するイメージ。
耳の外側上部には自律神経の、耳たぶには疲れ目の、耳の穴前方の突起部分・耳珠(じじゅ)には鼻炎やホルモンに関わるツボがある。耳の外側上部から耳たぶにかけて指で押し、満遍なく刺激していく。内側も同様にし、左右で行う。
3.耳ひっぱり
揉みきれないツボにアプローチ。
親指と人差し指で耳をつかみ、両外側にひっぱる。数秒間キープし、勢いよくパッと手を離す。次に、耳を上方向にひっぱり、同様に数秒キープしてから勢いよくパッと手を離す。下方向も同様に行う。
4.耳まわし
仕上げに耳を全方位に動かす。
親指と人差し指で耳をつかみ、外側にひっぱる。数秒間キープしたら、上から下へ向かってぐるりと回す。そのまま何度か繰り返す。次に下から上へ、今度は逆方向に何度か回す。左右で行う。
温めるだけでも、効果あり!
「寝る前に緩やかに血行促進したい、寝ている間も効かせたいなら"温める"だけがおすすめ」(広川さん)。耳を手で包むだけでもOK。寝ている間は耳まで包むアイマスクや、イヤフォンのように装着できる耳用のカイロが便利。
ナイトミン 耳ほぐタイム
耳までとろける濃密パフアイマスク
『クロワッサン』1094号より