物忘れがひどくなったり、言葉が出てこなかったり。そんなとき気になるのが認知症。今や国内の認知症予備軍は500万人を超えるといわれる。しかし、認知症予防専門クリニック院長の広川慶裕さんは認知症は予防できると語る。
「脳は死ぬまで成長します。加齢に伴って脳が縮むと思っている人もいますが、その真偽は不透明。50代、60代でも進化しますから、諦めることはない」
そもそも認知症はどんな病気なのか。
「40代を超えると、脳の神経細胞にとって毒のような存在・アミロイドβペプチドという異常なタンパク質が脳に蓄積し始める。これが認知症発病の原因と考えられています。そもそも脳は自浄作用を持ち、アミロイドβペプチドを無毒化・排除できますが、40代を超えると細胞内のミトコンドリアの働きが悪くなり、エネルギーを作れなくなる。そうなると、脳がまるで電池の消耗が早くなったスマートフォンのようにすぐに疲れてしまい、その日にたまった老廃物を処理できなくなります」
そしてこの異常なタンパク質が10年、20年とかけて脳内にいっぱいになってしまうと、いよいよ認知症の症状が現れてしまう。こうなると改善が難しくなるので、早めの予防が重要に。そこでキーワードになるのが“血流”だ。
「血流をよくして、脳にエネルギーを届けて活性化させる。これに効果的なのが、“耳マッサージ”です。耳には、体全体につながる12全ての経絡があります。経絡とは中医学の考えで、“気”が通る道。つまり耳を揉むだけで全身の血行促進につながるのです。始めてみると痛気持ちいいと感じ、全身がポカポカするはず。ぜひ楽しみながら行ってください。楽しいという感情も、脳にとってはいい刺激。大歓迎ですから」