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不動産が負動産になることも! リフォーム前に把握すべきこと。

自分や親の大切な住まいを「負」の財産にしないために、リフォーム前に住み続ける価値があるか見極めることが大切。そのポイントは?
  • 撮影・加藤 淳 文・寺田和代
空き家数・空き家率

少子高齢化の進行で不動産価値はこの先大きく変動するでしょう、とは不動産事情に詳しい藤川太さん。自分や親の家のリフォームに踏み出す前に、まず現状の資産価値を見極め、その未来予想図をイメージしてから“住み続けるか、住み替えるか”にいったん駒を戻して考える大切さを強調する。

「現在の不動産市場の動向を見ると、短期的には高騰傾向です。その理由は東京オリンピック景気と、日銀が大量の不動産融資をしているから。しかし長期的に見れば供給過多になることは避けられないでしょう。2030年にかけて日本の人口は800万人減ると予測されています。人口は減っても独居など人数が少ない世帯が増えているので、住宅のニーズはある程度は維持されていますが、それを考慮しても世帯数のピークは2019年と予想されています。つまりオリンピックの頃には世帯数も減り始めます

日本の新築着工件数の多さはアメリカと比べても突出しているという。
「アメリカの人口は約3億2000万人で日本のおよそ3倍。それでも年間新築着工件数は約120万〜130万件。日本は約100万件。人口比を見れば明らかに供給過剰。これだけ建て続ければ余るのは当たり前です」

人口減少による空き家の増加、不動産価格は下落傾向にある。

老朽マンションが増えていく

日本の特殊事情として、耐震性がより高い住宅が求められる傾向がある。
「住宅の構造は震度6強〜7の地震でも倒壊しにくい耐震性を満たす新耐震基準が導入された1981年を境に大きく変わりました。現在の、とくにマンションの新築ラッシュの背景には1981年以前に建てられた古い物件が淘汰され、最新の耐震性を備えた物件のニーズの高さもあります」

その事情を踏まえても、この先の人口減少による住宅のだぶつき、その結果による不動産価値の下落傾向は、多くの専門家が指摘している。
「国土交通省が発表する最新の空き家率は13・5%。野村総合研究所は、現在の新築供給件数約100万件を53万件に減らしても2033年の空き家率は約30%に達すると試算。2021年には築40年以上の老朽マンションが100万件を超える予測も(グラフ参照)。国は、空き家対策としてできるだけ新築を抑え、中古住宅が流通するようなしくみへと舵を切っていますが、なかなか進まない現状があります」

新築か、リフォームか、売却して賃貸に住むか。この先の住まいをどうするか。現実を見極めて判断するための3つのポイントを見ていこう。

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