奈良国立博物館では『空海展』が開催。生誕1250年記念の特別展となる。衆生救済を願った空海は804年に遣唐使のひとりとして中国・唐に渡り、そこで師の恵果(けいか)からわずか3ヶ月で密教の全てを受け継いだと言われる。本展では国宝約30件重要文化財約60件をもって、空海がもたらし、その後の日本の文化に大きな影響を与えた密教のルーツを辿る。
見どころのひとつは空海自身が制作に関わった現存最古の両界曼荼羅(胎蔵界および金剛界。平安時代、京都・神護寺。会期の前後期で展示替えあり)。紫の絹地に金泥・銀泥で仏や菩薩を描いたもので、最後の修理は江戸後期。このたび230年ぶり、6年間におよぶ修理を終え、公開されることとなった。他には「三筆」のひとりとしても名高い空海の自筆本、また唐から持ち帰ったとされる法具なども見逃せない。