子どもがひとり立ちして教育費がかからなくなり、人生でやっとホッとひと息つけるようになるはずの50代。それがいまや最もリスキーな世代になりつつあると、『やっぱりサラリーマンは2度破産する』の著者、藤川太さんは警鐘を鳴らす。
「かつてはサラリーマンにとって収入のピークを迎えるのが50歳前後でしたが、いまはもう違います。給与の減額やリストラなどで若いころに立てた住宅ローンの返済計画が大きく変わってしまい、定年後までローンを払い続けなければならない人が増えているんです」
まして最近は晩婚、晩産化が進み、50代を迎えてもまだ子どもの教育費にお金が必要な家庭も少なくない。将来に目を向ければ定年まで10年を切り、老後は目前。50代は意外と崖っぷちに立っているのだが、危機意識を持ちにくい世代でもある。とりわけ年収1000万クラスの高所得層にその傾向があるという。
「こういう人たちはお金がかかるライフスタイルが身についてしまっていて、定年後も生活習慣を簡単には変えられないのです。しかしリタイアして年金生活を送ることになれば、月々の収入は現役時代より半分以下に減るというのが現実です」
金銭面からリタイア後のマイホーム問題を考えれば、最大のテーマは定年を迎える60歳までに住宅ローンを完済してしまうこと。
「60歳で退職金が出るとしても、それは老後の生活資金に必要なお金。退職金を住宅ローンの残債に充てることはおすすめできません」
ただし住宅ローンの金利が低くなっているいま、ローンの借り換えや、現在の銀行との金利引き下げ交渉も有効だ。とはいえ、もし自宅を売却して残債がなくなるのなら、それも考慮すべきかも、と藤川さん。
「豊かな老後を送るためには、お金という制約条件の範囲内で自分が望むライフスタイルをどう満たすか、その知恵をしぼることが大切です」
ライフスタイルのベースになるのが住まい。これならできそうという「終の棲家」の見つけ方を考えた。