くらし

【稲垣えみ子さんに訊く】“身の丈”を意識すれば、節約は楽しく続けられる。

  • 撮影・加瀬健太郎
ぬか床の“菌様”を愛おしむ。ぬか漬け生活を送れるかの鍵は、ぬか床は生きていると考えて、ペットのように可愛がれるかどうかと自著で記す。
4つの調味料さえあれば……。基本の調味料は赤穂の塩、小豆島の丸島醤油濃口、自家製の梅酢。これらに味噌を加えて、味付けを考える。
冬野菜の激安御三家で鍋を。ホワイト鍋と命名したこちらは、大根、白菜、ネギにエノキダケ、豆腐、湯葉も加え、酒粕と柚子胡椒で味付けする。
干せば、何でも保存できる。冷蔵庫がない生活でわかったのが、太陽の力を借りて“干す”保存法。旨味も増すうえに、水分が飛び、腐らない。

食事の基本は毎日でも飽きずに食べられること。

稲垣さんは近著で1年間に食べたごはんを写真とともに紹介している。毎食の基本は一汁一菜。朝にご飯を炊いて、おひつで保管。ぬか床から出した漬物を切る。それに毎食ごとに手を変えた汁ものを作る。時間にして10分もかからないメニューだ。

「冷蔵庫などなかった江戸時代の食事を時代劇で見ていると、本当に地味ですよね。でも食事の基本は毎日同じものを食べても飽きないことだと思うんです。私のごはんでのごちそうは油揚げなんですが、これは近所の80歳のおじいちゃんがやっている豆腐屋で1枚150円のものを買っています。お金ってわかりやすい仕組みだから、牛肉とか値段が高いものがいいものでおいしいもの、とすぐ序列をつけるんです。でも私にとっては肉より断然油揚げのほうがおいしいと思える。お金がなくてもぜいたくできるかどうかは、その人の人生設計次第だと思っています」

「飯・汁・漬物」を基本としつつ、旬の食材も加わる1年間のメニューを写真と文章で綴った近著『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)。

稲垣えみ子(いながき・えみこ)●フリーランサー。朝日新聞社で大阪本社社会部、週刊朝日編集部などを経て論説委員、編集委員をつとめ2016年1月退社。著書に『魂の退社』『寂しい生活』など。

『クロワッサン』990号より

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