その後もお金がなくても楽しい趣味などを追求。東日本大震災を機に電気がない世界まで踏み込む。
「最初に捨てたのが電子レンジ。冷凍ごはんの解凍が主な役目でしたが、蒸し器で温めたほうが驚愕のおいしさで。家も広くなって」
なくても平気なばかりか、ないほうがいいことが起こる。掃除機を捨ててほうきを使うことで初めて掃除が好きになった稲垣さん、「私が苦手だったのは掃除機であって、掃除ではなかったんです」。
会社を辞めても、金欠で困ることはなかった。10年かけてお金を使わないライフスタイルを身に付けていたからだ。では、今は何にいちばんお金を使っている?
「家賃以外では、カフェ代です。外の世界ともつながっていたいですし、原稿を書く時は午前と午後で違うカフェに行くんです。逆に、そこでは積極的に使いたい」