facebook instagram twitter youtube
ニュース

【後編】購入先を使い分けて贅沢な節約を。〈ウェブ通販と個人商店〉

購入先を検討するだけで、豊かな気持ちになれる“贅沢な節約”ができます。毎日の買い物のしかた、見直してみませんか?
  • 撮影・岩本慶三 文・野村美丘(photopicnic)

無駄を省いて、切り詰めるのが節約の基本だけど、それだけではちょっぴり味気ない。日常の必需品を買うときも、楽しみやうれしさといったプラスの感情が生まれるような、“贅沢な節約”ができる方法があるといいのに……。

そこで提案したいのが、最適な購入先を検討する買い物のしかた。同じものを買うのでも、いくつかの購入先を頭に浮かべ、目的や状況によって使い分けることで、本当の意味でリーズナブルといえる、満足感のある節約ができるようになる。

「例えば一見、難しそうでとっつきにくいかもしれないネットスーパーやウェブ通販は、やってみると意外に簡単でとても便利です。また、個人商店に行くと昔ながらのやりとりの優れた点にあらためて気づかされます」

ちょっと目線を変えるだけで、節約が楽しくなってくる。一長一短の買い物のしかた、どこに気をつけると賢く利用できるか、青木美詠子さんに実際に試してもらった。

「特にネットの買い物に慣れないうちは、失敗もあるかもしれませんが、すぐ慣れます。少額から始めてみては」

【ウェブ通販】検索で欲しいものがすぐ見つかる。交通費も不要。

モニターの向こうの見えないところで行われる諸々の手続きに最初は不安を感じるかもしれないが、慣れれば将来にわたって便利なのがウェブ通販。青木さんも、「利用し始めた当初はクレジットカードの情報を入力するのに抵抗があって、代引(代金引換。注文品を届けに来た宅配業者に料金を支払う)にしていました。でも代引はそのつど手数料がかかるので、たった数百円でも回数を重ねると、今度はそれがもったいない気がしてきて」、今ではもっぱらカード決済。「それでも『Amazon』や『楽天』など、名前が知られた大手のサイトから買うようにしています。以前、怪しいサイトに登録しかけ、怖い思いをして懲りたので」

青木さんが最もよく利用するのが『Amazon』。当初の主要取り扱い商品は本だったが、今では食料品から家電まで、あらゆる商品が揃っている。青木さんが服を選ぶ際に重要視するのは素材だが、「たとえばアルパカのニットが欲しいと漠然と思いついて、街へ探しに出るとなると、店に入ってはセーターを一枚ずつめくって品質表示を確認しなければなりません。でもウェブなら“アルパカ100% ニット”とキーワードを入れて検索すれば、条件に適った商品が一覧になって表示されるんです」。サイズも指定できるから、さらに探しやすい。時間も交通費もかからず、全国の優れた品々から探せるのだ。しかも定価以下で販売されている場合も多く、今回見つけたニットは約40%オフ。ただし紐づけられたよけいな商品まで、つい買いすぎないように注意。あとは早く到着する『Amazonプライム』で買ってしまうと、無料期間後は勝手に会費が発生するので気をつけて。

また『Amazon』は「罪悪感なく簡単な手続きで返品できるのもすごいところ」と青木さん。自分の購入リストから、「間違えて注文した」などの返品理由を選択すれば、返送手続きが始まる。もちろん食品をはじめ、返送不可商品もあるので「返品・交換の条件」に目を通して。「洋服もサイズが合わなかったりイメージが違ったりしたら返品可能なので気軽です。自宅で誰にも気兼ねなく試着できるのも大きな魅力」

購入者の細かい感想や︑「そのカテゴリーで 1位」なども参考になる。「買い物の履歴が残 るのも次回にかなり便利です」
条件にヒットしたアルパカ100%の ニットは、定価1万9440円が1万14 63円に。期せずして約40%オフで 購入できた。地域や商品にもよるが 注文して翌日から数日内には届く。

新しい試みをしているところでは、たとえば『KURADASHI.jp』という社会貢献型ショッピングサイトがある。消費期限が迫っているなどの理由で最大90%オフになった商品がラインナップされていて、購入金額の一部が社会活動団体に寄付される仕組みだ。支援団体先も指定できる。商品数は限られているが、ニーズが合えばかなりの安価で手に入るし、個人的な買い物が社会貢献になるという満足感も得られる。ただし注文受付期間や発送日が限定されていたり、電話問い合わせ窓口がなかったりと、不便な点もあるのは否めない。

『KURADASHI.jp』に限らず、ウェブサイトごとにルールが異なるのは、ウェブ通販を利用するときに注意したいところ。初心者なら、まずは総合的にサービスが行き届いている『Amazon』から試してみてはどうだろう。電話番号のありかは『Amazon』もわかりにくいが、「カスタマーサービスに連絡」から、要件を選択すると、「何分以内」と表示され、向こうから電話をかけてくれる。疑問を持ったとき、電話で聞けるかどうかも、慣れないうちは重要な点かもしれない。また、サイトによっては買い物するとポイントがつくので、利用するサイトをある程度絞ったほうがポイントが貯まる。

商品数が限定されているので、「欲しい商 品を積極的に探すより、欲しい商品が出て くるまで気長に待つのがいいのかも」。新商品が入荷するとお知らせメールがくる。
スープ4種・計48個セットが1万80 円→3,580円。そのうち110円が支 援金に(この商品の場合)。『KURA DASHI.jp』は基本的に個数が多く、 友だちとシェアもよさそう。

【個人商店】人と人との交流が、自分限定のお得さをもたらす。

買い物は楽しい。個人店で買うのは、なおさら楽しい。これまで話題にしてきたネットスーパーやウェブサイトでの買い物とは正反対の購入先だが、要はそれぞれのいいとこ取りをして、上手に使い分ければいいのだ。

青木さんの暮らす街は、都内ながら、のどかな風景が広がる郊外。畑も多く、野菜と果物の直売所がじつに20近くもある。『朝どり野菜直売所 矢川農園』では、店に隣接している畑などからのとれたて野菜を販売している。「スーパーで買うより断然安いのに、新鮮でおいしいんです。先日ここでゴマを買ったとき、炒りゴマにするのはフライパンでも大丈夫、と焦げないやり方を教わって。やってみたら、本当にすごくおいしかった!」と青木さん。「でしょう?香りが全然違うのよ。ゴマは洗ったり、干したり、けっこう手間がかかるの」と店の人が返すと、「えー! それは大変」と言いながら、青木さん、今日もゴマをさっそくリピート買い。野菜ひとつ買うのにも、つかの間の歓談がおまけについてくる。

食材の扱い方を最もよくわかっているのは、生産者自身だろう。自分で調べるのももちろんいいが生産者と直接話ができて調理方法などを聞けるのはうれしい。「もし近くに野菜直売所がなかったら、ネットで探して、週末ドライブがてら立ち寄るのも楽しいかもしれませんね。でも野菜が売り切れ次第閉店するところも多いので、できれば午前中に。

畑のなかにある『朝どり野菜直売所 矢川農園』 で、農家の人から直接野菜を買う。おいしく 食べるコツなどの情報も一緒に仕入れる。
近くでとれた朝どれの野菜たち。季節や直 売所によって品揃えが違うのも楽しい。

青木さんが贔屓にしている『Willcafe』は数年前、散歩中に偶然見つけた。来栖さんとお母さん、従姉妹の品川さんで切り盛りする喫茶と焼き菓子の店で、試しに買ってみたケーキがそれはそれはおいしくて、以来、ときどき立ち寄るように。「こちらのお店は旬の果物や、こだわった素材だけを選んで、丁寧につくられているので安心して買えます。それが良心的なお値段で提供されているのは個人商店ならではの良さだし、ある意味、お得だと思うんですよね。地方の甥っ子や知人に贈るお菓子も、よくお願いしているんですよ」。好みをリクエストしたり、数量を調整してもらったり。相談する相手はお菓子をつくっている当の本人だから、とにかく話が通じやすい。

個人商店や直売所での買い物は人と人とのやりとり。それはつまり、人づきあいになる。個人の責任で営業しているから、顔なじみになれば数を調節してくれたり、おまけもしてくれるかも。また、必要な商品の入荷を事前に頼んでおくことや、一般客には出せないB級品を奥から出してきてもらうことだってあるかもしれない。顔見知りになって、何かと融通が利くのは大きな意味で、お得感、節約に連鎖していく。

『Willcafe』も、直売所で食材を調達することがあるそう。こんなふうに有機的なつながりが見えるのも、地域の人づきあいならでは。よく言われることではあるが、顔の見える信頼関係が、確かな安心感をもたらしてくれる。近所の個人店に顔なじみをつくるのは、単なる買い物の域を超えた、広い意味で満足度の高い暮らしにつながりそうだ。そしてそこには、同じ街に住む者同士の連帯感もきっと生まれる。

運がよければ、焼きたてのお菓子が味わえる ことも。つくってから時間がたってないとい う贅沢さも、個人商店の魅力。
青木さんが特にお気に入りの スコーンをはじめ、焼き菓子 をいくつか購入。

『クロワッサン』942号より

●青木美詠子さん エッセイスト/「冷えとり」の本を4冊上梓。近著に自然素材中心の家づくりを綴った『あおきみさんち、家を買う。』(マイナビ出版)。

文字サイズ