森永 先ほどもお話ししましたが、定年退職時までに1億円貯めるよりも、無駄な支出を省いていく術を身に付けるほうが僕は大切だと思います。もし優良企業で働いていて退職金が1500万〜2000万円もらえるならば、年金支給額が下がっても、借金さえなければ充分に楽しく生活できるんじゃないかなあ。
荻原 私は最低1500万円は貯めたほうがいいと思います。というのも、生活保険文化センターの「平成28年度生活保障に関する調査」によると、一人平均500万円介護にかかっているんですよ。すると、二人で1000万円でしょ。その上で年金をもらう。支給額は減っても、なくなりはしないので、二人で20万円もらえればやっていけるかな。歳をとると病院代はかかるでしょうけど。医療費が高額になったときには国が助けてくれる高額療養費制度を活用すればいい。
森永 健康でいることはすごく大切です。僕はついこの前まで、糖尿病の治療をはじめ、医療費が大変でした。毎朝お腹に2本インスリンの注射を打って、薬も、人が見たらびっくりするほどの量を飲んでいた。毎月、検査費が2000円、治療費が1万2000円です。その負担が、ダイエットで20キロ以上落としたことでゼロになりました。病気でないということはものすごい節約だと身に染みた。
荻原 健康になってよかったですね!
森永 ありがとうございます。担当医によると、太ったままだったら、僕、死ぬところだったそうです。やせてね、被服費も⅓になりました。以前は店にはめったに置いていない肥満体用のビッグサイズで、もちろん定価購入。でも、今はセールで買えます。おおげさではなく、人生が変わりました。
荻原 無駄を一つ一つ省いていくと、生活のコストは抑えられます。だから下手に投資でお金を増やそうなんて考えないこと。投資は、あくまでもギャンブルです。失っても生活に影響しないお金のあるときしか手を出してはだめ。株式は資金のある人だけが有利なシステムです。100万円の資金全額を投じて50万円損したらマイナスのまま。でも、1000万円の資金で100万円投じて50万円損しても、その下がった株を買って取り戻せますからね。
森永 投資をする人を止めはしませんけれど、お金がお金を生むなんて幻想を持ってはいけない。
荻原 そう。だから、借金の埋め合わせのための投資なんて絶対だめです。
森永 荻原さんも僕も年金13万円で暮らす内訳をつくってみたけれど、少ないお金の中で娯楽費、交際費はしっかり確保していますね(上記参照)。
荻原 だって、人生、ワイワイ楽しく生きていきたいじゃない。
森永 ええ、人間、結局は〝人とのつながり〟が一番の財産だと思いますよ。