「料理家の中川たまさんに見せてもらったのは、家族とファミレスに行き、近所で食材を買ったレシート。ふと思い出してじんわり懐かしいと思うのはこういう日常の景色なんですよね。大切なものほど、よそゆきの姿なんてしていなくて、当たり前のようにそばにある。手の届く範囲の日常を大事にしたいと改めて気づかされました」
ペットボトルのスポーツドリンクのレシートが、60歳手前で空手を習い始めたという一歩を踏み出した証しだったり、鎌倉で遊んだ日のレシートが、これまで仕事づけだった過酷な日々から、自分を慈しむために時間やお金を使うようになった変化の表れだったり。紙切れひとつに、それぞれ違う背景があり、日々を進んでいる確かな軌跡であることを教えてくれる。