くらし

シンプルな箱で実現する、自由なインテリアとデッドスペース活用術。

設計図も糸鋸も不要のシンプルな家具に、デッドスペースの活用術。
目からウロコのDIYワザを教わります。
  • 撮影・黒川ひろみ 文・新田草子

(A)箱を積み重ねて可動式の本棚に。
(B)5分で完成の初DIYテーブル。
(C)箱+クッションで椅子に早変わり。

新しいオフィスのために機能的な家具を探していた、本のPR会社「QUESTO」代表の黒田剛さん。仕事で訪れたカフェで理想的なテーブルに出合う。シンプルな佇まいに「自分で作れるかも」とひらめき、自作したのが上の写真の中央のテーブルだ。

「使いやすいサイズを求めて、いろいろな家具を参考にしました。杉の天板と鉄の脚はホームセンターとネットで購入。製作時間は5分程度でした」

簡単にでき、しかも想像以上の出来ばえ。手応えを感じた黒田さん、椅子にも棚にもなる3種の箱形家具の製作に乗り出す。1週間後にはご覧のとおりの、気持ちのよい空間が完成。

「木材はホームセンターでカットしてもらえるので、糸鋸も不要。電動ドリルさえあれば誰でも作れます」

柔軟な発想から生まれるDIYのワザ、ぜひお手本にしたい。

右・箱形家具はすべて奥行き30cmで、縦横が40×40cm、40×60cm、40×80cmの3種。必要に応じてすぐに移動できる手軽さも魅力。左・端材はキッチンまわりの備品の目隠しに活用。

基本の箱の作り方

4枚の板をねじ留めするだけで万能家具が完成。

用意するのは板とねじ、工具。

「板をカットしてもらう際、側面用の板は天地の板の厚みを除いたサイズに指定します。例えば3cm厚さの板で30cm角の箱を作るなら、側面用は24×30cmに。あとは、いきなり木(もく)ねじを打つと木材が割れてしまうので、必ず錐(きり)で下穴を。この時、ねじの頭が収まる部分も削れる〝皿取錐(さらとりきり)〟を使うと、仕上がりがきれいです」

黒田さんは厚さ2.4cmの杉の無垢材を使用。指示書を作り、ホームセンターでカットしてもらう。一番右は天地用の板(30cm角)、右から2〜4番目は側面用の3種。一番左はベンチ用の板。

(材料)板と木ねじ、工具を準備していざ。

天地用の板2枚、側面用の板2枚(天地用の板の厚み分をカットしたもの)、木ねじ(皿ねじ)8本を用意。電動ドライバーは充電式よりもコード式の、パワーのあるものが安心。下穴用の錐と、ねじ打ち用のプラスドライバーの、2つのアタッチメントを準備する。

(1)壁を利用して3枚の板を並べる。

床に天地用の板を置き、壁にぴったりとつける。床に傷がつくのを防ぐために、あれば下に板を敷いておくとよい。壁側と手前の2辺に側面用の板を2枚、垂直に立てて置く。壁に沿っていない手前側は、指先でよく確かめながら辺に沿わせて立てる。

(2)残り1枚をのせて完成形を作る。

垂直に立てた側面用の板の上に、残りの天地用の板をのせる。天地用の板と側面用の板が90度になるように調整しながら、側面の板がずれないように慎重に整える。四隅をきちんと押さえるときれいに仕上がるので、サポートしてくれる人がいるとベター。

(3)下穴を開ける場所の見当をつける。

錐アタッチメントを電動ドライバーに取り付ける。角を挟む両辺からそれぞれ板の厚み半分ほど内側に、下穴の位置を決める。

(4)皿取錐で、下穴を垂直に開ける。

天板を押さえ、皿取錐の円錐部分が、板の表面より少し深め(ねじの頭がすっぽり収まるくらい)に達するまで錐で垂直に穴を開ける。

(5)木くずはクリーナーでまめに掃除。

開けるのは小さな穴だが、意外と木くずが出て散らばる。ハンディクリーナーなどで吸い取りながら作業するのがおすすめ。

(6)プラスドライバーでねじを打つ。

アタッチメントをプラスドライバーに付け替えて、木ねじを打つ。下穴に垂直に立てて、真上からしっかりと打ち込む。

(7)ねじの収まりをチェック。

ねじを打ち込んだところ。皿取加工のおかげでねじの頭が飛び出さず、床に置いたときにガタつかない。残りの3カ所も同じようにねじを打ち込み、天地を入れ替えて、もう一方の天地用の板も同じように留めれば出来上がり。

(完成)椅子やサイドテーブル、本棚にと大活躍。

棚としてなら、写真のように天地を側面としても使える。「ニスは好みで。塗らなくても問題なく使えます」(黒田さん)

「慣れれば10分でできます!」

デッドスペースの活用術

バスルームを改造。シャワーフックを外して壁面も利用。

続いて黒田さんが着手したのが浴室の改造。

住居用物件のためユニットバスがついているが、使わないので雑多な物置き場と化していた。ホームセンターで購入した板材で浴槽を覆い、その上に万能箱形家具を配置。

クリーナーは、シャワーフックを外した穴を利用して取り付けた板に吊り下げることに。物がすっきりと収まるストックヤードに生まれ変わった。

物が適当に置かれていた改造前の浴室。浴槽も収納に使っていたが、中身を取り出すためには蓋の上のものをどかす必要があり、活用度は低め。クリーナーも邪魔な位置にあった。

(1)木材で浴槽を塞ぎ、箱形家具を置く。

蛇口も箱形家具で目隠し。さらに写真の点線部分にクリーナーの収納場所を作る。

(2)シャワーフックを取り外す。

まずはシャワーヘッドを固定するためのフックのねじを外し、壁から取り外す。

(3)木材にねじ用の下穴を開ける。

12×100cm程度の細長い木材を用意。壁に当ててフックのねじ穴の位置の見当をつけ、錐で下穴を開ける。

(4)ねじで木材を壁に固定する。

下穴と壁のねじ穴の位置を合わせ、プラスドライバーを付けた電動ドライバーで木ねじを打ち込む。

(5)吊り下げ用のフックをつける。

クリーナーが床につかないくらいの高さで、木材にねじ式フックを取り付ける。

(6)クリーナーを吊り下げる。

あまり重いものを吊り下げるのには向かないが、クリーナー程度なら問題ない。

(完成)明快で美しい収納スペースが誕生。

棚には事務用品やペットボトル飲料などの備品を収納。クリーナーは壁に掛けておけば転がって床を塞ぐこともなく、必要な時にすぐ手に取れる。

 ↓

浴槽上の板は2枚に分けて、手前を開閉可能に。ティッシュなどかさばるものを収納。
黒田 剛

黒田 剛 さん (くろだ・ごう)

「QUESTO」代表

2017年に本のPR会社「QUESTO」を設立。原晋著『「挫折」というチカラ』(マガジンハウス)、林真理子著『成熟スイッチ』(講談社現代新書)など多くの本のPRを手がける。

『クロワッサン』1090号より

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