骨董も現代ものも日々使う、うつわ好きの料理家ウー・ウェンさんの食器棚。
そんな理由で同じ食器ばかり使っていてはつまらない。色やサイズ、形を替えれば同じメニューが見違える。旅先で出合ったうつわ、受け継いだ一枚は物語を添えてくれる。日々の食卓が豊かに変わるうつわレッスン、スタートです。
撮影・合田昌弘 文・太田佑子
思いの詰まったうつわだからこそ骨董も現代ものも、日々使う。
ひと抱えはある青花の大皿、翡翠色が美しい青磁は大中小と数十枚、日本ではあまり見ない配色、文様の色絵皿。ウー・ウェンさんの食器棚を眺めていると時を忘れそう。
「中国のうつわは、北京の実家からもらってきたものが多いですね。古い家なので、いつの時代のものかわからないものもたくさん」
ウーさんは、そのうつわを子どもたちが小さな頃から毎日の食卓で、惜しげもなく使ってきた。
「使ってこそうつわです。もったいないですよ、棚にしまっておくなんて。割れたり、欠けたりしたらショックですけど、金継ぎをして使い続けます」
旅先で陶磁器に出合ったり、意を決して漆器を購入したり、日本のうつわも大好きだというウーさん。
「やっぱり職人さんの技術がすごいですよね。蒔絵なんてほれぼれします」
皿や椀を買う場合、少なくとも数枚セットで買うことがおすすめだという。
「一人だからいらないと思っても、来客もあるし、割れたり欠けたりも。使っているうちに不思議と使い道が出てくるものだと私自身実感しています」
洋食でも和食でも、必ず朝食に登場するのが この青い(ブルーウィロー)絵皿です。
フレンチトーストはウー家人気の朝食メニュー。前日から牛乳やアーモンドミルクに漬け込んでおき、各自が自分のタイミングでさっと焼く。うつわは、通称ブルーウィロー。旅先や百貨店で見かけるたびについ買ってしまうという。中央に柳が描かれているのが名の由来で、中国民話の悲恋物語が絵柄のモチーフだといわれている。
「恋の物語は世界共通でとても親しみを感じます。昔から窯元など関係なく世界中で作られている絵柄だから、一枚一枚少しずつ違う。青い絵柄はさわやかで、どんな料理でも受けとめてくれます」
大皿にはいただきものの 果物や野菜を飾って。
結婚当初に、中国の骨董品店で見つけた古い青花大皿は、30年愛用している。
「この青い花は、中国の伝統的な文様です。かわいらしいですよね」とウー・ウェンさん。子どもたちの友だちが来たときには大量のおかずを盛るのに使っていたが、最近は、おかずを各種、少しずつのせて、ワンプレートのようにしたり、いただきものの果物などを盛って飾ったり。
「野菜もどん、とのせたりして。お皿ですけど、季節が感じられる空間になるんです」
アラビアの皿に古伊万里や中国骨董を重ねて。
知人や友人を家でもてなすことも多いウーさん。そんなときのテーブルコーディネートは、アラビアのお皿の上に日本、中国の古いうつわを重ね、色合いのよい布ナフキンを重ねてできあがり。「北欧のうつわも大好きで、このアラビアはたしか、20数年前に伊勢丹で買ったものです。一見陶器のような風合いがあるけれど、同じ磁器だから、古伊万里や中国の皿も合うと思って」
中国、日本、北欧とウーさんならではのコーディネートが楽しい。
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