くらし

骨董も現代ものも日々使う、うつわ好きの料理家ウー・ウェンさんの食器棚。

  • 撮影・合田昌弘  文・太田佑子

京都旅行のときに出合った急須にひとめぼれ。

以前、京都に行ったときに見つけたのがこの急須。「俵屋旅館で見つけたのですが、なんてかわいいの!と思って。よく見ると不思議な形なんです。楕円でふっくら。高台があるのもおもしろい」

お茶を飲むときは、たっぷり入れて飲みたいというウーさん。

「だから、急須も大きめがうれしいの。この急須だったら、日本茶にも中国茶にも紅茶にも合いますから、毎日使うのにぴったり。同じシマシマの湯呑みを合わせたりして楽しんでいます」

和風というよりオリエンタルなイメージの急須。急須と左端の湯呑みは、京都で創業300余年の老舗「俵屋旅館」のショップで取り扱いあり。問い合わせ:ギャラリー遊形 TEL.075-257-6880

キッチンカウンターの裏手にある食器棚は天井まで届く高さの作り付け。先日、棚の上のほうで割れたり欠けたりしたうつわを発見。「まとめて修理に出そうと思ったまま忘れていたんです。反省してすぐに金継ぎをお願いしました。どんな姿になって戻ってくるのか、今から楽しみです」

思いきって手に入れた 金襴手(きんらんで)の漆のお椀。

「金沢を旅したときに古美術店で出合ったのですが、漆の美しさ、職人技の蒔絵があまりにもすてきで。清水の舞台から飛び降りる気持ちで買いました」。お正月やお祝いの席で使うときには、赤飯を品よくそっと盛る。「食べているうちに鶴が出てきて、心も華やぎますよね」とウーさん。将来、二人の子どもが家族を持ったら5客ずつを譲るつもりでいるそうだ。「日本のいいものを残してあげるのも私の務めだと思っていますから」

金襴手の蓋付き椀は金沢の『古美術黒龍堂』で購入。明治か大正時代に作られたもの。直径12cmと小ぶりで手にすっぽり収まる。蓋の裏とお椀の見込みに鶴が覗く。

母から受け継いだ青磁、自分で初めて買ったコウモリ文様の絵皿。

コウモリの絵柄の骨董の皿は、30年以上前、西安を旅行したときに自分で初めて購入したものだそう。「コウモリは吉祥文様なんですよ」

そして、翡翠色の青磁の皿は結婚後に実家からもらってきたもの。「代々使ってきたものだから価値もわかりませんが、家ではまったくのふだん使い。どんな料理でも映えるし、うつわを重ねてコーディネートするときも相手を選ばない。どちらも、欠けたら、金継ぎをして使い続けていきたいうつわです」

青磁はサイズ違いで数も何枚あるかわからないほど。「翡翠色は特に中国人には健康、幸福の意味を持ちます。コウモリ柄も長寿や繁栄を表す色柄ですからどちらも縁起のいいうつわなのです」。写真の青磁は直径19.5cm。赤絵皿は大24cm、小10cm。
ウー•ウェン

ウー•ウェン さん

料理家

シンプルな調味料、手順で素材のおいしさを引き出すレシピが人気。来日して30年、主宰するクッキングサロンも23年目を迎えた。『丁寧はかんたん』など著書多数。

※この号で掲載したうつわは、作家ものなど、雑誌発売時に店舗に同じものの在庫がない場合もあります。ご了承ください。

『クロワッサン』1032号より

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※ 記事中の商品価格は、特に表記がない場合は税込価格です。ただしクロワッサン1043号以前から転載した記事に関しては、本体のみ(税抜き)の価格となります。

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