夫がデザインしたという食器棚には、新婚時代から幾度の引っ越しを経てなお現役のうつわが並ぶ。その多くは忙しい製パン業と3人の子育ての合間を縫って買い集めたものだ。
「よく足を運んだのは、当時上陸したばかりの渋谷の『ウィリアムズ・ソノマ』や自由が丘の『キャトル・セゾン』。行くたびにワクワクするものがありました」
そのうちのいくつかは、今や成人した子どもたちも愛用する。
「5枚買ったうち1枚だけになったイタリアの白い陶器の皿は、いつも誰かが使っているし、何を食べるにも塗りの丼という人もいるし」
各人がうつわには一家言ある模様。朝のテーブルに並ぶ銘々お気に入りのスープ皿がそれを物語っているようだ。