からだ

Vol.36 緑内障になりやすい目と言われました。【40歳からのからだ塾WEB版】

同世代でおしゃべりをしていると、近くが見えにくくなったとか、目がひどく疲れるとか、最近よく「目」の話題が出るようになりました。40代というと「老眼」を自覚し始める年代ですが、ほかに「緑内障」と診断される人も、ちらほら出てきています。実際、緑内障は40歳以上に多い眼疾患で、40代以上の日本人の20人に1人が緑内障と言われています(日本緑内障学会・多治見スタディより)。
みなさんは「将来、緑内障になりやすい目です」とか、「緑内障の疑いあり、精密検査を受けるように」と言われたことはありませんか。今回は、緑内障になりやすい目とは? そして予防法はあるのかなどについて、専門医に聞いてきました。
  • 文・及川夕子 イラストレーション・小迎裕美子

緑内障の可能性あり!?
健診で「視神経乳頭陥凹拡大」と言われたら……

緑内障とは、視神経が障害され、視野が狭くなったり、部分的に視野が欠けていく目の病気です。緑内障はどのようにして起こるのでしょう。
東邦大学医療センター大橋病院、眼科診療部長の富田剛司さんによると、緑内障になりやすい目の一つに、視神経乳頭陥凹拡大(視神経乳頭の異常)というものがあるそうです。

視神経乳頭陥凹拡大? 聞き慣れない言葉ですが、視神経乳頭は、眼底の中心部分のやや鼻側にあり、眼球から脳へ光の信号を伝える視神経の出入り口になっている部分のこと。この中心は誰でも少し凹んでいるのですが、凹み(陥凹)が大きいと緑内障が疑われます。

神経乳頭陥凹拡大と緑内障の関係

視神経乳頭の凹みが大きくなると、緑内障が疑われる。生まれつきのものや強度近視で凹みが大きくなることもある。

ただし、視神経乳頭の陥凹の大きさには個人差があります。もともと凹みが大きい人はいて、「視神経乳頭陥凹拡大です」と言われたからといって、必ずしも緑内障であるとは限らないそうです。
「最近では、健康診断などで眼底検査をする機会が増えたため、少しでも異常と思われる症状があると、精密検査を勧められるケースが増えてきています。視神経乳頭陥凹拡大もその一つで、陥凹が大きくても9割は心配のない範囲。病的な人は1割程度にすぎません。それでも、緑内障は、視神経乳頭陥凹拡大が起きて発症する病気です。緑内障の初期には自覚症状がほとんどないために、発見が遅れてしまう人もいます。このことからも、眼科での精密検査はとても大事です」と、富田さん。
眼科健診などで「神経乳頭陥凹拡大」を指摘されたら、必ず眼科を受診して精密検査を受けましょう。眼圧検査、視野検査、眼底検査などを行い、医師はそれらの結果をあわせて診断します。

緑内障の原因は?
眼圧が高いと緑内障になるってホント?

ところで、緑内障のリスク因子は何だと思いますか?
明らかな要因としては、「眼圧(眼球の内圧)」の上昇があります。
眼圧には、目の中の水(房水)が関係しています。正常な眼球は、房水という透明な液体でみたされていて、眼圧は、この房水を作る量と房水が外へ出て行く量のバランスにより一定に保たれています。しかし、何らかの要因でそのバランスが崩れると眼圧が高くなってしまいます。その結果、視神経が圧迫されて傷つき、視野が欠けるなどの症状が現れてきます。

ただ、視神経の強さは人によって異なるため、眼圧が正常範囲であっても緑内障になる人がいます。これを「正常眼圧緑内障」と言います。
また、「原発開放隅角緑内障」(房水の出口が目詰まりしているタイプ)の患者さんには、強い近視のある人が多くみられることから、近視も発症要因の1つではないかと考えられています。
このほか、医学的に立証されているわけではありませんが、加齢や血行不良などの関与も指摘されています。
では、遺伝はどうかというと、緑内障は遺伝性の病気ではないそうです。ただ、家族間では目の形や体質が似てくることから、緑内障の〝なりやすさ〟が似ていることはある、とのこと。このように、考えられる要因は複数あります。「一人ひとりの目の状態によって、緑内障のなりやすさは変わるということを知っておきましょう」(富田さん)

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