緑内障は視神経が障害され
視野が欠けていく病気
さっそく、緑内障で手術を勧められるのはどんな場合か。東邦大学医療センター大橋病院、眼科教授の富田剛司さんの解説をもとに、順を追って説明していきましょう。
まず、私たちがものを見るためには、目から入った光の電気信号が、網膜神経線維を通って脳に伝わることが必要です。目と脳をつないでいるのは「視神経」という部分なのですが、緑内障とは、その視神経が主に眼圧の影響を受けて障害され、視野が狭くなったり欠けたりする病気を言います。
緑内障の大半は原発緑内障で、眼球の隅角という部分が目詰まりしているタイプ(開放隅角緑内障)と塞がっているタイプに分かれます。さらに、開放隅角緑内障は、眼圧が高くなるタイプと低いタイプ(正常眼圧緑内障)に分かれます。緑内障の分類については、前回Vol.36の回でも詳しく触れていますので、参考にしてみてくださいね。 ちなみに、40歳以上の20人に1人は緑内障(日本緑内障学会・通称多治見スタディより)で、日本人では、眼圧が高いタイプの緑内障よりも正常眼圧緑内障が多いと言われています。
適切な眼圧に戻し、維持することで
視野障害の進行を遅くすることができる
では、緑内障と診断されたら、どんな治療が待っているのでしょう。 「一度傷ついた視神経はもとには戻らないため、適切な治療を受けずに放置していると、失明の危険性が高まります。したがって、緑内障の治療の目的は進行を食い止めることであり、最も重要なのは眼圧を下げる治療です。下の図は開放隅角緑内障の患者のデータですが、眼圧が低いグループほど視野障害の進行が抑えられることがわかります」と富田さん。