甘酒は江戸時代から庶民の間で夏バテ防止に役立つ飲み物として愛されてきました。暑い時期には夏バテ対策に甘酒売りが街を回っていた記録もあります。
甘酒はご飯に米麹を加えて酵素の力ででんぷんをブドウ糖に分解し、体への吸収を高めたもので、点滴同様、即効で元気になるのは理にかなっています。
さらにビタミンB群が豊富なので、糖をすぐにエネルギーに変え、疲労回復を助けます。糖は脳の働きと直結していますから、朝一杯の甘酒を飲めば、午前中から脳がしっかり働き始めます。さらに皮膚の代謝をよくする効果から、美肌を保ち、肌トラブルの改善効果もあります。
麹菌はでんぷん分解酵素、たんぱく質分解酵素の2種類の消化酵素を作り、食べ物の消化を助けます。下ごしらえに使えば肉や魚を柔らかくするというメリットがあります。
いずれの消化酵素も腸でアミノ酸に分解されてしまいますが、体が消化酵素を作る負担を減らしてくれることにもなります。結果的に体内で他の酵素を効率よく作る手助けをしているともいわれています。
麹菌は腸にすむ菌ではありませんが、乳酸菌やビフィズス菌、酪酸菌など善玉菌を応援し、酢酸や体にいい短鎖脂肪酸を作るのを助ける酵素を作ります。米の食物繊維とともに、腸内環境改善に役立つのです。
また、食物繊維にはさまざまな成分を抱き込む働きがあるのですが、甘酒を通して行われた最近の研究では胆汁を抱き込んで排出し、胆汁の原料であるコレステロールを消費するので、血中コレステロール値が下がったり、ダイエット効果があることもわかってきています。