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抗酸化成分で細胞の老化も防ぐ、味噌の健康効果とおすすめの食べ方【発酵食大図鑑】

【麹菌】【酵母】【乳酸菌】
大豆のいいところがまるごと!食事を豊かにヘルシーに。
  • 撮影・青木和義、黒川ひろみ 文・韮澤恵理  

大豆と麹が生み出す味と香りと体にいいもの。

蒸した大豆を米麹で発酵させて作るのが味噌。大豆を麹菌が分解し、蔵や樽、空気中にすみつく乳酸菌、酵母が加わり、熟成していきます。元々体にいい食材である大豆のたんぱく質がアミノ酸に変わり、強い旨みとなるだけでなく、吸収もよくなります。

分解されて熟成された味噌は含まれているアミノ酸や糖がメラノイジンという色素成分に変わり、濃い色に変わっていきます。このメラノイジンは抗酸化物質で、老化や細胞の変異を抑制するという研究も進んでいます。

大豆を皮ごと使うので、不溶性食物繊維をムダなく摂れるのもメリットです。

味噌の種類は使われる麹の種類によって異なり、最も一般的な米味噌は米麹を使い、塩の量や熟成期間でいろいろな種類が作られています。

通常は蒸して使う大豆をゆでて、麹を多めにすることで甘めに仕上げたのが白味噌です。

これに対し、米麹ではなく、豆麹と呼ばれる蒸した大豆に種麹を繁殖させて、大豆だけで作るのが豆味噌、蒸した麦に麹菌を繁殖させた麦麹を使うのが麦味噌で、日本の味噌はこのいずれかです。

どの味噌も麹菌の力で大豆が分解され、体に活用されやすい状態に変わっているのは同じですが、色や香り、成分にはそれぞれ違いがあります。

味噌作りに使われる麹は麹菌が豊富で、味噌を発酵熟成している間にも活動を続け旨みを増します。

一方で、塩分が多いことも忘れてはいけません。体にいいからと味噌ばかり摂るのではなく、他の食材のアシスト役として適量を摂りましょう。

(注目の健康効果)

米味噌

●豊富な大豆の栄養素
蒸し大豆を麹の力で消化のいい状態に。たんぱく質が分解されたアミノ酸、大豆イソフラボンや大豆レシチンなどの有効成分も豊富。

●食物繊維と麹菌で腸元気
皮付きの大豆を使って作るので食物繊維がしっかり摂れる。麹菌は善玉菌を活性化する物質を作り、腸内環境が改善される。

●抗酸化成分も含む
味噌の色は大豆が分解されてできるメラノイジン。抗酸化成分で細胞の老化を防ぐ働きがあるといわれている。

【米味噌ができるまで】

(A)種菌と呼ばれる元になる麹菌。米に混ぜて繁殖させる。

(B)空気中の乳酸菌や酵母が入り込み、発酵や熟成を助ける。麹菌のでんぷんやたんぱく質を分解する働きと、乳酸菌や酵母による分解が同時に行われる。

(C)大豆が分解され、旨みのもとのアミノ酸になる。消化がよくなり、独特の風味と味わいが生まれる。

(賢い摂り方)

● 1日1杯の味噌汁習慣
味噌汁が最も身近な味噌料理では? 1日1椀の味噌汁を摂る習慣はおすすめです。

具だくさんに仕上げれば、汁の量を控えることができるので、野菜や豆腐などをたっぷり入れましょう。豚汁のように豚肉に根菜や豆腐などを使えばコクが出て、満足感が高くなります。たっぷり作って翌日も楽しんでも。わかめ、青さなど海藻の乾物は具として使えば、食物繊維の優れた供給源に。

● いろいろな味噌を使う
味噌によって香りや味に違いがあるので、いろいろな味噌を使い分けるのも味噌健康法に役立ちます。

一般的な米味噌はクセがなくて味のバランスがよく、味噌汁だけでなく、酢味噌や味噌鍋などに相性がいい。発酵の度合いや、塩分、蔵ごとの特徴があり、2種類以上の味噌を混ぜる合わせ味噌にすると、味の幅が広がります。

豆味噌は長期間発酵させ、色も濃く、酸味や渋味を持つ深い味で、だしなしでもおいしい味噌汁に。味噌カツでおなじみの味噌だれに活用したり、さばの味噌煮などに使うと、魚のクセを消す。

西日本以南で作られる麦味噌は塩分が少なめで麦麹の量が多いのが特徴です。

[米味噌(赤色辛口)]

米麹を使った味噌。長期熟成して作るので糖とアミノ酸の反応で濃い赤みのある味噌になる。旨みや香りが強位のが特徴。仙台味噌など。

[米味噌(淡色辛口)]

米麹を使った最も一般的な味噌。明るい山吹色でなじみのある味わい。信州味噌が代表的だが、日本中でつくられている。

[米味噌(淡色甘口) =白味噌]

大豆をゆでて糖やたんぱく質を少なめにし、大豆に対して麹の量が多く、短期で熟成させた味噌。甘味が強く漬け床に利用されることも。京都の西京味噌が代表。

[豆味噌(赤味噌)]

蒸した大豆に直接麹菌を混ぜて長期間発酵熟成させた濃い赤褐色の味噌。旨みが強く、かすかな渋味や苦味、酸味などがあるのが特徴。八丁味噌や名古屋味噌が代表。

[麦味噌(甘口)]

蒸した麦に麹菌を繁殖させた麦麹を使って作る味噌。九州や中国地方、四国などで愛され、熟成期間が短く、甘口のものが多い。麦麹の麦の筋が見える。

(気をつけたいこと)
味噌は塩分が多いので、だしをきかせて減塩するのがポイントです。旨みが塩気を補うので、塩分控えめでもおいしく食べられます。辛口の米味噌なら1人分小さじ2(12g)で塩分およそ1.5g程度です。

(おすすめ献立)
わかめの味噌汁と納豆、ご飯、漬け物という昔ながらの和朝食はバランス抜群です。濃い旨みは塩だけより満足感があるので、味噌焼き、味噌煮などのおかずもいい。白味噌をシチューなどに加えて味噌効果をプラスするテクも。

(麹の種類も多彩)
酢味噌はさっぱりとして香りがよく、酢と味噌の健康効果が同時に得られる。魚介類などをあえるとたんぱく質の消化がよくなり、魚のEPAやDHA、貝のタウリンなどが酢の効果と掛け算。ねぎなどを使うとアリシンなどをうまく摂れます。

酢味噌の基本は味噌2、酢1、砂糖1の割合。辛子粉を加えれば、辛子酢味噌に。戻したわかめ、刺し身こんにゃくなどを酢味噌で食べれば、絶好の食物繊維食に。好みの味噌に酢を加えるだけでもおいしい。

Cooking idea|ポリ袋で一晩!手作り味噌浅漬け

ポリ袋に野菜を入れ、少量の味噌を加えて外から手でもみ、しっかりなじませて口を閉じ、冷蔵庫で一晩漬ける。味噌の香りがなじみ、目先の変わった浅漬けに。麹が摂れ、香りと旨みで塩分控えめでもおいしい。

cooking memo|1分で長生き味噌汁

手間がかかる印象の味噌汁ですが、簡単でおいしく、食物繊維も摂れるのがこのレシピ。粉がつおととろろ昆布で一番だしの旨み。具にはそのまま使えるカットわかめなどがおすすめ。椀に入れ、熱湯を注いで混ぜるだけ。

(上)好みの味噌を1人分。1椀で味噌小さじ1程度が適塩。

(中)細かい粉がつおを使えば、だしが出て口に残らない。

(下)昆布だし代わりにとろろをひとつまみ。昆布の食物繊維も摂れる。量は好みで。

熱湯を150mlくらい注いでよく混ぜる。

『Dr.クロワッサン 強い腸をつくる、発酵食の摂り方大百科。』(2021年2月18日発行)より。

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