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ネバネバが腸内を健康に、納豆の健康効果と賢い食べ方、ヘルシーなアレンジレシピ【発酵食大図鑑】

【納豆菌】粘らせても粘らせなくても健康効果は同じ!

撮影・青木和義、黒川ひろみ 文・韮澤恵理 

ネバネバの持つ食物繊維としての働き。

納豆が体にいいことはよく知られていますが、そのメカニズムはまだすべて解明されているわけではありません。

蒸した大豆に納豆菌を加えると、菌が大豆を分解すると同時にさまざまな酵素を生み出しますが、同時に人間には消化できない食物繊維も作ってくれることがわかっています。

中でも納豆独特のネバネバ成分の正体であるフルクタンという多糖類は、人には消化できないけれど、腸内の善玉菌には消化ができ、たっぷりと食べて元気になった善玉菌はせっせと乳酸や酢酸を作り出し、腸内を弱酸性に保ちます。

同様にガンマポリグルタミン酸という食物繊維も腸内環境に好影響を与えているのではないかと考えられています。

また、納豆の原料である大豆は良質なたんぱく質で、大豆イソフラボンやレシチン、サポニンなども豊富。本来あまり消化がよくないのですが、納豆菌によってアミノ酸に分解されることで旨みが増し、消化もよくなるすばらしい先人の知恵です。

出血を止める働きや骨粗鬆症の改善効果を持つビタミンKを豊富に含み、腸内でビタミンKを作る細菌の応援もするので、ダブルでビタミンKを増やします。

納豆の健康効果を語るとき、必ずその名が出るのがナットウキナーゼという酵素。血栓を溶かし、動脈硬化に有効という報告もありますが、この酵素が直接血栓に作用するのかどうかはまだはっきりとはわかっていません。

納豆は、良質なたんぱく質と食物繊維の恩恵を一つの食材から得られるスーパーフードであることが最も大切なポイントです。

納豆、注目の健康効果

ネバネバが腸内を健康に、納豆の健康効果と賢い食べ方、ヘルシーなアレンジレシピ【発酵食大図鑑】

●酵素が生まれる
発酵するときには、でんぷんやたんぱく質を分解するさまざまな種類の酵素が作られる。大豆が消化されやすくなり、同時に消化を助ける。

●食物繊維ができる
納豆菌が作るネバネバ成分の中でも注目すべきはフルクタンという人間の消化酵素では消化できない成分。食物繊維の一種で、腸内を健康に。

●大豆の栄養が豊富
消化がよくなった納豆からは大豆に含まれるたんぱく質や大豆イソフラボン、レシチン、サポニンなどがしっかり摂れる。

納豆ができるまで

ネバネバが腸内を健康に、納豆の健康効果と賢い食べ方、ヘルシーなアレンジレシピ【発酵食大図鑑】

(A)蒸し上がった大豆に納豆菌をつけると、菌が大豆のたんぱく質を分解して繁殖し、アミノ酸と糖のほか、ビタミンや健康成分を作る。

(B)アミノ酸や糖のほか、食物繊維やビタミンK、消化酵素がたっぷり。

(賢い摂り方)

●1日1パックを毎日
納豆の適量は1日1〜2パック程度を毎日摂るのがおすすめ。納豆のたれは塩分が多いので、全量入れずに調整するとよりヘルシーです。

しっかり粘らせるとより効果的なように感じますが、成分が増えるわけではないので、好みでOK。

腸内で活動する菌ではないため、加熱しても問題ありません。納豆汁やオムレツなど、加熱調理で変化をつけて食べるのもいいでしょう。ビタミンKは脂溶性ビタミンなので油と一緒に摂ると効果がアップします。

[丸大豆納豆(小粒)]

ネバネバが腸内を健康に、納豆の健康効果と賢い食べ方、ヘルシーなアレンジレシピ【発酵食大図鑑】

一般的な直径5〜6mmの丸大豆を使った納豆。乾燥大豆を水で戻し、蒸したところに納豆菌をつけて発酵させたもの。

[丸大豆納豆(大粒)]

ネバネバが腸内を健康に、納豆の健康効果と賢い食べ方、ヘルシーなアレンジレシピ【発酵食大図鑑】

直径が7〜8mmの大粒の大豆を使った食べごたえのある納豆。粒が大きいと食べごたえがあるが、納豆としての栄養素は少なめ。

[ひき割り納豆]

ネバネバが腸内を健康に、納豆の健康効果と賢い食べ方、ヘルシーなアレンジレシピ【発酵食大図鑑】

乾燥大豆を砕いて皮を取り除いて蒸し、納豆菌で発酵させる。菌が触れる面が多いので、発酵によって生まれる成分は多いが、食物繊維はやや少ない。

[乾燥納豆]

ネバネバが腸内を健康に、納豆の健康効果と賢い食べ方、ヘルシーなアレンジレシピ【発酵食大図鑑】

蒸した大豆を納豆菌で発酵させたあと、乾燥させたもの。水で戻して納豆として利用することもできる。納豆のにおいやネバネバが苦手な人は、乾燥したまま食べてもいい。

[黒豆納豆]

ネバネバが腸内を健康に、納豆の健康効果と賢い食べ方、ヘルシーなアレンジレシピ【発酵食大図鑑】

大豆の仲間である黒豆を使って納豆菌で発酵させたもの。納豆と同じように酵素やビタミンを含み、さらには黒豆の色素成分アントシアニンの抗酸化効果も。

●気をつけたいこと
納豆が体にいいからと大量に食べる人がいますが、これは間違い。食事で重要なのはたんぱく質と炭水化物、脂質をバランスよく摂ることです。納豆に頼りすぎ、野菜や炭水化物が不足しては本末転倒です。

●おすすめ献立
たんぱく質は納豆から摂れるので野菜や海藻、きのこなどを使った副菜を組み合わせた和定食はバランスのいい献立。雑穀ご飯や麦ご飯が苦手な人も、納豆をかけると食べやすく、食物繊維もさらにたくさん摂れます。

●ネバネバが好きなら
納豆のネバネバが好きで、ふわふわに泡立てたいという人におすすめなのは、酢をひとたらし加えてひたすら混ぜる方法。真っ白になるまで泡立てることができます。酢の健康効果に加え、わずかな酸味が減塩の手助けにも。

少量の酢を加えると粘りが出て減塩効果も。
少量の酢を加えると粘りが出て減塩効果も。

Cooking idea|ヘルシーな納豆アレンジ

毎日の納豆習慣を続けるために、アレンジもいろいろ覚えておきたい。健康効果が倍増し、しかもおいしい組み合わせをご紹介。

●納豆+めかぶ
納豆のネバネバとめかぶのヌルヌルがあいまって、とろりとおいしいだけでなく、食物繊維の量も大幅に増加。

●納豆+山いも
山いもに含まれるネバネバ成分は良質な食物繊維。でんぷんを分解する消化酵素も多く含むので、ご飯の消化を助ける。

●納豆+卵
卵はアミノ酸バランスのいい優秀なたんぱく源で老化防止効果も。卵黄レシチンは脳の健康も保つ。

●納豆+漬け物
すぐき漬け、しば漬け、野沢菜漬けなどの乳酸発酵漬けをみじん切りにして加える。乳酸菌のパワーをプラスし、漬け物の塩分をたれがわりに利用するとヘルシー。

『Dr.クロワッサン 強い腸をつくる、発酵食の摂り方大百科。』(2021年2月18日発行)より。

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