病床で出会った頃のことを静かに語りあう、道隆と貴子(板谷由夏)の姿に泣く。
小倉百人一首
忘れじの行く末まではかたければ今日をかぎりの命ともがな
(けして忘れないと、いつまでも私を思ってくださると、そうした約束は永遠ではないのですから。その言葉を聞いた今日幸せなまま死んでしまいたい)
スンと澄ました女から、こんなにも熱く激しい歌をもらったら一気に深く惚れてしまうだろう。
「あの歌で貴子と決めた」
このドラマの中での道隆は権力に振り回され溺れ、為政者としての仁徳を見失ったかもしれない。しかし夫婦の愛だけは最後まで見失わなかった。胡蝶の夢……権力者としての道隆が真実か、家族を愛し妻と微笑みあう道隆が真実か。彼は最期に、悪夢から覚めることができたのだと思いたい。
兼家は寧子(財前直見)と輝かしき若き日を振り返り、道隆は貴子にあたたかく見守られてこの世を去った。ふたりとも、愛する女から送られた和歌を口ずさんで。
ふと、道長の最期はどうなのかと思う。倫子は一通も道長から文を送られたことはないと言い、嘘をつく夫に憤っている。このドラマの中で描かれるかはわからないが、彼の最期は誰が傍にいて、どんな言葉を交わすのだろう。
次週予告。宣孝(佐々木蔵之介)がまひろをひとりの女として扱い始めるぞ! 定子への「皇子を産め」の呪いが終わらない。おひさしぶり穆子(むつこ/石野真子)と倫子、なかよし母娘。2週続けて心配している実資。帝の美しい閨場面part2。道兼、倒れる!、ききょう「なんであなたが彼を知ってるの」。またも、六条の廃墟がふたりの岐路に。
第18話が楽しみですね。
NHK大河ドラマ『光る君へ』
公式ホームページ
脚本:大石静
制作統括:内田ゆき、松園武大
演出:中島由貴、佐々木善春、中泉慧、黛りんたろう
出演:吉高由里子、柄本佑、黒木華、井浦新、吉田羊、ユースケ・サンタマリア、佐々木蔵之介、岸谷五朗 他
プロデューサー:大越大士
音楽:冬野ユミ
語り:伊東敏恵アナウンサー
*このレビューは、ドラマの設定(掲載時点の最新話まで)をもとに記述しています。