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家事、移動、着替え…日常の動作を少しアレンジして筋肉・脳・骨を鍛える、朝昼晩の習慣。

日常の何気ない動きが、ちょっとしたコツで体と脳の元気につながるエクササイズに。
気軽に始められる、アンチエイジングな生活術を今日から。
  • 撮影・青木和義 イラストレーション・村上テツヤ モデル・横川莉那 スタイリング・仮屋薗寛子 ヘア&メイク・浜田あゆみ 文・恩田貴子

掃除機をかける、買い物に行く……。そんな日常の動作にほんの少しアレンジを加えるだけで体や脳の老化防止につながると話すのは、ウェルネスクリエイターの齊藤邦秀さん。

「私たちは家事や仕事をする中で、毎日いくつかの習慣化された動きを繰り返していますが、それはつまり脳も筋肉も同じ部分しか使っていないということ。でも逆に考えてみれば、ルーティンを崩すことで使われていなかった部分が使えるようになるということでもあるんです。
買い物に行く道を変える、掃除機をかけるときの歩幅を変えるくらいのことでいいので、日常のルーティンを少し変えてみてください。“慣れない動き”をすることで、脳が活性化。神経と筋肉のつながりが新たに生まれ、使える筋肉が増加することで体の動きがスムーズになる、バランス力がアップするなど、さまざまな効果が実感できるはずです」

このほかにも、齊藤さんが提案するアンチエイジングに役立つ生活術も併せてご紹介。ふだんの行動の延長線上でできるものばかりなので、気軽に取り入れてみたい。

「この中のいくつかを行うだけでバランスよく筋肉、脳、骨を鍛えることができるので、全部やらなくても大丈夫。がんばりすぎはストレスのもと。“やりすぎない”ことも、健康のためには大切なんですよ」

【体と脳を目覚めさせ活動スイッチをオンに。】

[脳][骨]

「朝、日光を浴びると骨の健康に欠かせないビタミンDが生成されるとともに、体内時計がリセット。心身がアクティブモードに切り替わります」。このとき分泌されるセロトニンは睡眠を促すメラトニンの原料になり、夜の快眠にもつながる。

[脳][筋肉]

靴下をはくときは、片足立ちにトライしてみよう。「体を支えるほうの脚のひざを少し曲げ、20~30秒ほどかけてゆっくり靴下を引き上げます。ぐらつく体を支えようと、脳も体もフル活動するため、どちらに対しても大きな刺激に」

[脳][筋肉]

「お皿を洗うとき、どちら側に食器を回していますか? いつもとは逆方向に食器を回転させて洗うだけでも、脳は活性化します」。利き手ではないほうの手で、食器洗い用のスポンジを持つ、洗剤を出す、蛇口をひねるなども効果的。

[筋肉]

「床に落ちたものを拾うなど、しゃがむ動きは下半身を鍛えるのに最適。ゆっくり腰を落とし、立ち上がるときはお尻にキュッと力を入れましょう。最後にかかとをつけたまま、グーッと背筋を伸ばして」。これを10回繰り返そう。

[脳][筋肉]

脳の活性化には同時に2つの動作を行う〝デュアルタスク〞が効果的。「おすすめは、一人じゃんけん。右手が負けるようにじゃんけんしてみて。左右の手を同時に動かしつつ、普段意識しない負けるための動きで脳が刺激されます。慣れてきたら次は左手が負けるようにじゃんけんを」

[脳][筋肉]

歩幅を大きくする、斜め前に足を踏み出すなど、脚の動きに変化をつけると脳が活性化するとともに、下半身の筋肉に効果大。「ハンドルを持つ手を前に動かすとき、反対側の手を後ろにグッと引くと、背中の筋肉にも効きますよ」

[筋肉]

はだしになり、腰を上げて雑巾を押し出すようにして雑巾がけをしてみよう。全身を使うので、5分ほどで汗が出てくるはず。「全身の筋肉を使ってバランスをとるから、体幹の強化になり、同時に下半身の強さも養われます」

【仕事や家事をしながら体全身を活性化。】

[筋肉]

「スマホ中は猫背になり、首が前に出がち。骨盤を立てるようにして座り、背筋を伸ばしたら、息を吸いながら胸を突き出すように大きく開き、目線をスマホとともに上げて5秒キープ。息を吐きながら腕を下ろして」。10回繰り返す。

[脳][筋肉]

「いつもと違う道を使ってスーパーに行く、少し回り道をして駅から家に帰るなどの小さな変化も、脳の活性化につながります」。バッグを逆手で持ったり、大きな歩幅で歩いたりすると、さらに全身の筋肉に効果あり。

[脳][骨][筋肉]

骨は衝撃を与えると強くなり、またその衝撃が脳の活性化を促す。「階段を下りるときは少し前かがみになり、前に出す足に体重をかけるようにすると骨にしっかり衝撃が伝わります。最初は手すりにつかまりながらでOK」

[筋肉]

加齢により低下する骨盤底筋のトレーニングは、イスに座りながら簡単に行える。「イスに座り、肛門、尿道、膣をじわじわと引き上げるイメージで15秒ほどかけて締めたら、力を抜いてリラックス。これを5回繰り返しましょう」。立ち上がるときは、片方の足を軽く前に出し、前の足に体重をのせて。脚の筋力アップになる。

[脳][筋肉]

「昼寝は脳の疲労を取るのに効果的。電車での移動中、スマホを見ずに仮眠を取れば、その後の作業効率がアップします。ただし、30分以上寝てしまうと深い眠りに入ってしまい、頭がぼーっとしてしまうので20分前後がベスト」

【心と体をゆるめてお休みモードにチェンジ。】

[脳][骨][筋肉]

睡眠中に分泌されるホルモンは脳や筋肉の疲労を回復するだけでなく、骨の修復にも欠かせないもの。その大切な眠りを妨げるのが夜間の強い光。「入浴中は浴室の電気をオフにして脱衣所の明かりだけにすると、刺激がおさえられ、体も心もほぐれますよ」

[脳][筋肉]

入浴中もルーティンを崩す動きで、脳のアンチエイジングを。「シャンプーやボディソープのディスペンサーを、いつもとは違う手で押す。体を洗うときに、いつもとは違う順番で洗ってみるなど、〝慣れない動き〞を取り入れて」

[脳][筋肉]

寝る前のストレッチは、ゆっくりとした動きで筋肉をゆるめるものがベスト。副交感神経が優位になり、眠りにつきやすくなる。「足を投げ出して座り、脚全体を左右にブラブラ揺らしましょう。できる限り、体の力を抜くのがコツ」

[脳][筋肉]

首をほぐすストレッチにも、副交感神経を優位にして心身をリラックスさせる働きが。「右手で左のこめかみあたりを押さえ、ゆっくりと頭を右側に倒します。首の左側が伸びていることを意識しながら、30秒キープ。反対側も同様に」

[脳]

「瞑想といっても難しいことはなし。楽な姿勢で座り、手のひらを下に向けてひざや太ももの上に置いたら、目を閉じてゆっくり呼吸を繰り返しましょう。吐く息を長くすると副交感神経が優位になり、リラックスできます」

齊藤邦秀

齊藤邦秀 さん (さいとう・くにひで)

ウェルネスクリエイター

人生100年時代を楽しむための脳の使い方、運動、睡眠についてコーチングを行う。著書『一番効果的な家トレ&ストレッチ』(成美堂出版)ほか。

パジャマ:
トップス2万900円、ボトムス1万9800円(共にスキンアウェア/ジャック・オブ・オール・トレーズ プレスルーム TEL.03・3401・5001)

普段着:
カーディガン3万9600円、ニット3万800円(共にジョン スメドレー)
パンツ1万9800円(エーケー ワン/以上ビームス ハウス 丸の内 TEL.03・5220・8686) ショルダーバッグ1万5400円(アミアカルヴァ for ピルグリム サーフ+サプライ/ピルグリム サーフ+サプライ TEL.03・5459・1690)
シューズ2万8600円(オーティーエー/クオリネスト TEL.03・6273・3536)
その他スタイリスト私物

『クロワッサン』1094号より

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※ 記事中の商品価格は、特に表記がない場合は税込価格です。ただしクロワッサン1043号以前から転載した記事に関しては、本体のみ(税抜き)の価格となります。

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