「俳句って、実は頭だけでなく体も使うんです。吟行の時は案外長い時間歩き回るので」
新緑の中、ノートとペンを手にそう話す岸本葉子さん。今年62歳になるが、俳句歴は40代後半から、15年ほどになる。出合いのきっかけは、ゲストで呼ばれたテレビの俳句番組。その後しばらくして、知人の紹介で句会に参加、それ以来生活に欠かせないものになった。
「句会では句を書いて提出し、メンバー同士で好きなものを選び合います。無記名なので忖度が働かないのも魅力。仲間に読んでもらうことで張り合いも出るし、一種のゲーム性もあるんです」
たとえば「1分間で1句作る」といった時間制限がある場合も。果たして1分で作れるのかというドキドキ感や、作った句が選ばれた時のワクワク感はやみつきになるという。
「即興で作ると、自分でも全く考えていなかった言葉が飛び出てくることも。知らなかった自分にたくさん出会える、という感じです。俳句というと静かなイメージがあるかもしれませんが、スリリングなことも多く、脳がすごく刺激されています」