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「90歳までピンヒールを履きたい!」音楽評論家、湯川れい子さんの日々の元気を支える骨活。

年齢を聞いて、えっ!と思わず声が出てしまうほど若いあの人は、一体何をしているのでしょう。
いつも元気な音楽評論家、湯川れい子さんの秘訣を聞きました。
  • 撮影・青木和義 文・辻さゆり

足指の骨を鍛えて、90歳までピンヒールを履きたい!

体の姿勢を支えているのは足指。湧氣球に指をのせて踵を上げたり、球をつかんだままジャンプすることも。

「昨夜はジャクソン・ブラウンのコンサートに行って帰宅したのが11時半。そこからお風呂に入って寝たのは夜中の2時から3時くらいです。だいたいいつもそんな生活ですね」

そう言いながら撮影場所の「からだの学校 湧氣塾(ゆうきじゅく)」に入ってきた湯川れい子さんの姿を見て、思わず年齢を確認してしまった。姿勢がよく、お肌はツヤツヤ。とても87歳には見えない。

「湧氣塾」は、人間の体を支えている骨を強化し、呼吸とリズムを合わせて健康な生活を送ることを目的に開かれている教室だ。湯川さんはここで月1回程度、「湧氣球(ゆうききゅう)」という小さな球に足の指をのせ、踵を上げたり、体を左右にゆらしてバランスをとる運動を行っている。

「コロナ禍でここに来られなかった時も、この“球乗り”は自宅でやっていました。これをやると姿勢もピンと伸びるんです」

湯川さんは常々「90歳までピンヒールを履きたい」と公言してきた。

「70代後半からのモットーは、『転ぶな、風邪引くな、義理を欠け』。義理については業界飯からお通夜、お葬式に至るまで失礼させていただくことにしています。そして、転ばないためにはヒールを履く。スニーカーだと逆に足元に注意がいかず、転んだことが何回かあったんです。普段のヒールは5cmくらい。ステージの時は9cmを履いています。いつまで履けるか楽しみですね」

90歳どころか100歳でもヒールの靴を履いて不思議はないと思わせる湯川さんは、ゴスペルグループ「東京女声合唱団」も率いている。

「発声することは誤嚥を防ぐし、新しい歌を覚えるのも脳にはいい。周りの人の声に合わせることで無心にもなれます。脳にも体にも、そしてメンタルにもいいですね」

40歳を過ぎたら、自分だけの 〝小さな天国〟を見つけよう。

就寝時間は遅いものの、必ず確保するようにしているのが睡眠時間だ。

「最低7時間半は眠り、なるべくベッドの中に8時間はいるよう心がけています」

それには理由がある。21歳の時に急性腹膜炎を起こし、その時の輸血がもとでC型肝炎にかかってしまった。まだ「C型」という呼び名がなく、「非A型」「非B型」と呼ばれていた時代だ。

「C型ウイルスが発見されたのは’80年代後半になってから。その時のお医者さんに『90%近くが肝硬変から肝臓がんになるから、そうならないためにはとにかく眠ること、お酒をいっさい飲まないこと』と言われて、それからお酒をやめ、睡眠時間をしっかりと確保するようになりました」

C型肝炎の治療法が見つかって完治したのは70代の時。過去には膵臓がんも患ったことがあり、丈夫だったわけではない。常に自分の体の声に耳を傾けながら第一線で活躍してきた(美容院は年に1回通うだけ!)。SNSの発信も積極的にやっている。ツイッターのフォロワーは、8万人!

「SNSを使うか使わないかでは情報量が圧倒的に違う。だったらなるべくいろんなことを知っていたほうがおもしろいでしょう? この前’70年代にインタビューしたリチャード・カーペンターのライブに行って、彼と一緒に撮った写真をアップしたら、一晩で2万6千人くらいが見てくれていてびっくりしました」

最後に、元気に年を重ねていくためのアドバイスを聞いてみた。

「40歳を過ぎればみんな天国と地獄を背負って生きている。地獄の時は自分一人じゃないと考えて、とにかく諦めずに自分だけの小さな天国を見つけること。その天国は一人一人、みんな違うと思います」

湯川さんにとっての天国とは?

「寝ることね(笑)。白雪姫のように」

『湯川さんの日々の元気を支えるもの』

●仕事そのものが脳トレになってます。

作詞に音楽評論、コラムの執筆、インタビューなど、多忙な日々を送る湯川さん。「私の仕事は書いたりしゃべったり。だから意識しなくても、自ずと脳トレになっています」

●みんなと歌えば心も元気になる。

歌手の加藤登紀子さんとは共に環境保護運動にも取り組んでいる仲。写真は昨年末に開かれた加藤さんの『ほろ酔いコンサート2022〜ほろ酔い〜50年祭』のフィナーレ。

湯川れい子

湯川れい子 さん (ゆかわ・れいこ)

音楽評論家

1936年、東京生まれ。’60年にジャズ評論家としてデビュー。ラジオ番組『全米TOP40』で国内外の音楽を紹介。「ランナウェイ」「恋におちて」などの作詞、著書多数。

『クロワッサン』1094号より

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