【利き酒も至福、大人の酒蔵巡り】南部美人(岩手県 二戸市)──いざ、あの銘酒を仕込む蔵元へ!
撮影・青木和義 構成&文・堀越和幸
みちのくの老舗が取り組む世界発信と地元二戸の観光振興
もともとは醤油を醸造していたところ、酒造りに転身したのが明治35年(1902年)。当時は〈堀乃友〉という酒を手がけていたが、南部杜氏を迎えてからは、綺麗な酒を美人になぞらえて銘柄を〈南部美人〉に移行。さらに、1964年には“天才杜氏”とも呼ばれた故・山口一さんが参加したことで、その魅力が一気に開花した。
「お酒の特徴は香りが芳醇で上品な口当たり。米の旨味もしっかり感じます」
と説明をしてくれたのは、『南部美人』役員室副室長の田口晃子さんだ。酒蔵は二戸市のシンボルでもある低山の折爪岳に隣接していて、そこからの伏流水が大切な仕込み水になっている。
「その折爪岳では、毎年夏になると100万匹以上のヒメボタルが出るんですよ(下写真)。いかにこの界隈の水が綺麗であるかがわかるかと思います」
現在五代目の蔵元となる久慈浩介さんは〈南部美人〉の海外進出にも積極的に取り組んできた。
「当初はサザンビューティーという愛称で親しまれ海外でもファンが増えていき、今は66の国に輸出しています」
久慈社長は“パッションの人”だという。〈南部美人〉を海外に紹介するのは自社の宣伝というよりは日本酒の旨さを世界に知らしめたいからであり、またここ数年は二戸の観光にも力を入れたいと考えている。金田一温泉郷、折爪岳や馬仙峡などの自然の景観などその資源はあるにはあるが、
「全国的に有名とはいえません。ですので、二戸に来たらぜひうちと一緒に二戸地域のおすすめの観光地にも足を延ばしてもらいたいと考え、現在、いろいろ策を練っているところです」
そのひとつとして3年前に行ったのが、酒蔵見学のリニューアルだ。見学者は蔵人スタイルの半纏と手ぬぐいを身にまとい、仕込み蔵に設置された専用のカメラで撮影、その写真をラベルに貼ってオリジナルの〈南部美人〉をお土産にするという趣向だ。
「実は二戸は漆の生産量が日本一で、“浄法寺漆”と呼ばれ重宝されています」
利き酒体験では、この盃を使う。
「地元のお酒を地元の酒器で飲む、そんなテロワールを味わう体験はなかなかできません。漆の酒器はお酒が唇に触れた時の口あたりがすごく柔らかい。一度、体験してみてください」
南部美人
日本初の酒蔵フォトスポットを取り入れる、東北の老舗。見学プランは8,800円のプレミアムのほかに、コインサーバーでの試飲がついたシンプル見学コース2,200円も。要予約。
『クロワッサン』1169号より
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