くらし

酒と砂糖でふっくら、カレイの早煮。

スーパーで買った切り身魚が、ウエカツ水産代表の上田勝彦さん流調理テクで魔法のようなおいしさに! 水で洗って、すぐに拭く。これだけで違います。
  • 撮影・三東サイ スタイリング・矢口紀子 文・田村幸子

カレイの早煮

酒と砂糖でふっくらさせて、煮汁をかけて仕上げる。

「酒や砂糖は細胞をゆるめる働きがあるので、先に入れて煮ると身が締まらずにふっくら仕上がります」と上田さん。少量の煮汁を回しかけて照りとコクを出す。

【材料(1人分)】
赤カレイ 1切れ
酒 適量
砂糖 適量
みりん 適量
濃口しょうゆ 適量
長ねぎ(白い部分)1/3本
しょうが 1かけ

【作り方】
1.赤カレイは下処理(下記参照)をして両面に切り目を入れておく。
2.長ねぎは芯を抜いてまわりの部分をせん切りに、しょうがは皮をむいて薄く切りせん切りにし、共に水にさらす。
3.フライパンにカレイを入れ、3分の1が浸るくらいの酒を注ぎ入れ、カレイをいったん取り出す。
4.3を火にかけて砂糖を加え、沸騰したらカレイを戻し、ふたをして1分ほど蒸し煮する。
5.煮汁にしょうゆを加え、塩味を決める。みりんを足して味を調える。
6.少量の煮汁をかけながら、2〜3分加熱し、火を止めてさらに1分間煮汁をかける。
7.皿に盛りつけ、水気をきった長ねぎ、しょうがを薬味に添える。

下処理

1.カレイの皮面は、スチールたわしで汚れを落とす。
2.骨や内臓の間に残る血の塊や細かい汚れは、歯ブラシで掃除。

調理のポイント

1.フライパンにカレイを置き、3分の1が浸るくらいまで酒を注ぐ。
2.ふたをすると短時間で火が入る。ない場合はアルミホイルで覆う。
3.身が締まる成分のしょうゆは、カレイに火が通ってから加える。
4.中火で2〜3分、火を止めて1分、煮汁をかけて味を含める。

ウエカツ流、魚の調理技術

買い物から帰ると、切り身魚を冷蔵庫に直行させていないだろうか。

「冷蔵庫に入れる前に、表面を流水で3秒洗って素早く水気を拭き、汚れを取ります。ペーパーとラップで包んでおけばくさみも出ず、数日冷蔵庫で持ちます」と上田勝彦さん。

ウエカツ流の調理技術は、買ってきたらすぐ表面を洗い、しっかり水気を取る下処理に始まる。味つけは、「芯部まで味を浸透させる〝さわり塩〟と、仕上げの〝はじき塩〟を合わせた、二段塩を試してください」。

魚の個性に合わせて、焼く、煮る、揚げる、蒸すの調理法を選ぶ。皮目をパリッとさせる焼き方や揚げ衣の工夫など、上田さんならではの知識と経験に裏付けられた技の一部を公開します。

基本の下処理

1.【表面を流水で3秒洗う。】表面のぬめりや血を取りながら3秒洗う。骨つきの魚は歯ブラシを使う。
2.【素早く水を切る】魚を振って水気を切り、吸水布で押さえるように水分と血液を取り除く。
洗車の仕上げ用の布が水分の拭き取りに最適。洗えば何度でも使える。
3.【キッチンペーパーで包む】キッチンペーパーで切り身をしっかり包み、水分を吸わせる。
4.【ラップで包む】空気にふれると雑菌が繁殖しやすいので、空気を逃がすように包む。
5.【この状態で冷蔵庫へ】調理するまで冷蔵庫で休ませる。下処理すれば数日は日持ちする。
6.【蓋付きのアルミ製密閉容器が便利】冷蔵庫内ですぐ冷えるアルミ製容器は便利。表面をペーパータオルで覆う。

二段塩のテクニック

1.[さわり塩]【すり込まず、さわる】手を湿らせて塩をつけ、まんべんなくさわる。すり込んではダメ。
塩の分量は、手のひらと指の腹がうっすら白くなるくらいが目安。
2.[さわり塩]【塩粒が溶けるのを待つ】身から水分がにじみ出るが、下処理をしてあるので拭かなくていい。
3.[はじき塩]【爪先で塩をはじく】塩ひとつまみを爪先ではじくように振りかけると、塩が均一に行き渡る。
上田勝彦

上田勝彦 さん (うえだ・かつひこ)

ウエカツ水産代表

長崎大学水産学部在学中に漁師として働き、卒業後は水産庁入庁。2015年に独立。著書『ウエカツの目からウロコの魚料理』がベストセラー。

『クロワッサン』1081号より

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※ 記事中の商品価格は、特に表記がない場合は税込価格です。ただしクロワッサン1043号以前から転載した記事に関しては、本体のみ(税抜き)の価格となります。

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