くらし

鯛の切り身もふっくら、どの魚にも応用できる「湯煮」。

スーパーで買った切り身魚が、ウエカツ水産代表の上田勝彦さん流調理テクで魔法のようなおいしさに! 水で洗って、すぐに拭く。これだけで違います。
  • 撮影・三東サイ スタイリング・矢口紀子 文・田村幸子

鯛の湯煮

魚の個性を最大限に味わえ、どの魚でもOK。

「湯を沸騰させずに煮ることで、加熱しすぎずふっくら仕上がる。湯煮は最強の調理法」と上田さん。少量の酒を湯に加え、グラグラ沸かさないこと。

【材料(1人分)】
真鯛 1切れ
長ねぎ 1/2本
塩 適量
酒 大さじ1
ポン酢 適量
七味唐辛子 適宜

【作り方】
1.下処理をした真鯛は、皮が縮まないように包丁目を入れ、「さわり塩」をする。
※下処理並びに「さわり塩」については記事下を参照
2.フライパンか浅めの鍋で、魚全体が浸るくらいの湯を沸かし、酒を加える。
3.長ねぎを縦半分に切り、斜め45度、5mm幅に刻む。
4.湯が沸騰したら、真鯛を入れて火を弱め、およそ1分半煮る。
5.皿に長ねぎの半量を敷き、フライ返しなどを使って真鯛の身をくずさないようにのせ、残りの長ねぎを手でキュッと握って上に盛り、ポン酢をかける。好みで七味唐辛子をふる。

調理のポイント

1.鯛は加熱すると皮が縮むので、包丁で切り込みを入れておく。
2.切り込みの深さは、切り目を開いて骨に達するところまで。

ウエカツ流、魚の調理技術

買い物から帰ると、切り身魚を冷蔵庫に直行させていないだろうか。

「冷蔵庫に入れる前に、表面を流水で3秒洗って素早く水気を拭き、汚れを取ります。ペーパーとラップで包んでおけばくさみも出ず、数日冷蔵庫で持ちます」と上田勝彦さん。

ウエカツ流の調理技術は、買ってきたらすぐ表面を洗い、しっかり水気を取る下処理に始まる。味つけは、「芯部まで味を浸透させる〝さわり塩〟と、仕上げの〝はじき塩〟を合わせた、二段塩を試してください」。

魚の個性に合わせて、焼く、煮る、揚げる、蒸すの調理法を選ぶ。皮目をパリッとさせる焼き方や揚げ衣の工夫など、上田さんならではの知識と経験に裏付けられた技の一部を公開します。

基本の下処理

1.【表面を流水で3秒洗う。】表面のぬめりや血を取りながら3秒洗う。骨つきの魚は歯ブラシを使う。
2.【素早く水を切る】魚を振って水気を切り、吸水布で押さえるように水分と血液を取り除く。
洗車の仕上げ用の布が水分の拭き取りに最適。洗えば何度でも使える。
3.【キッチンペーパーで包む】キッチンペーパーで切り身をしっかり包み、水分を吸わせる。
4.【ラップで包む】空気にふれると雑菌が繁殖しやすいので、空気を逃がすように包む。
5.【この状態で冷蔵庫へ】調理するまで冷蔵庫で休ませる。下処理すれば数日は日持ちする。
6.【蓋付きのアルミ製密閉容器が便利】冷蔵庫内ですぐ冷えるアルミ製容器は便利。表面をペーパータオルで覆う。

二段塩のテクニック

1.[さわり塩]【すり込まず、さわる】手を湿らせて塩をつけ、まんべんなくさわる。すり込んではダメ。
塩の分量は、手のひらと指の腹がうっすら白くなるくらいが目安。
2.[さわり塩]【塩粒が溶けるのを待つ】身から水分がにじみ出るが、下処理をしてあるので拭かなくていい。
3.[はじき塩]【爪先で塩をはじく】塩ひとつまみを爪先ではじくように振りかけると、塩が均一に行き渡る。
上田勝彦

上田勝彦 さん (うえだ・かつひこ)

ウエカツ水産代表

長崎大学水産学部在学中に漁師として働き、卒業後は水産庁入庁。2015年に独立。著書『ウエカツの目からウロコの魚料理』がベストセラー。

『クロワッサン』1081号より

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