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細川亜衣さんと食について考える。③

4月、震度7の地震に見舞われ、その後も断続的に余震が続く熊本。この地に暮らす料理家の細川亜衣さんに、あらためて食について考えたことを聞いてみました。
  • 撮影・徳永彩
たから農園の宅配野菜セット。写 真は、大(8~12品目)2,000円。 小(7~10品目)1,500円もあり。

上の写真は、料理家・細川亜衣さんが信頼する、熊本の有機農家たから農園の宅配セットの一例。ほくほくで甘いでじま(じゃがいも)、葉付きの春人参、昔ながらのトゲトゲのある四すうよう葉きゅうり、空芯菜、熊本赤ナス、ボルロッティ、ズッキーニ、玉ねぎ、ニンニク、もちろん自慢の生姜もある。農薬と化学肥料を使わず、丹精こめた野菜が2千円でこんなに届けられる。細川さんの言葉どおり、美しい野菜だ。

たから農園は、東京から熊本県宇城市に移り住んだ高田和加奈さん、泰運さん夫妻が運営する農園。農薬や化学肥料を使わない野菜を全国へ宅配したり直売所などで販売している。和加奈さんのこだわりは、届いた野菜で献立ができること。宅配便には、野菜の特徴や簡単でおいしい食べ方を記した通信も同封してくれている。さらに、たから農園の台帳には、いつどこにどの野菜を届けたかきちんと書き留めてある。なるべく同じような野菜ばかり送らないよう、チェックしているのだ。季節感にあふれた、まさに旬の詰め合わせ。何が届くか、ワクワクだ。

「生産者は作ることだけでもたいへんな仕事。いいものを作っている人たちがいることを知らせたり、作物を流通させる役に立てないかなと、常々思っています」(細川さん)

実際、細川さんは、各地の料理教室のために野菜を頼んだり、自宅のある泰勝寺では、月に一度、有機野菜やハーブの生産者を集めた市場を開いている。買い手の顔が見えると生産者の励みになるし、そこで買ったことが定期の発注につながる可能性も大きいと考えている。

「地震のあと、支援という言葉をよく耳にするようになりました。泰勝寺を通して支援に使ってください、と託されることもあって、どうするのがもっともいいのか、あれこれ思案することも。一方で、非常時でなくても、誰がどんなふうに作っているものにお金を使うのか、いつも考えながら支払い続けることこそ、大切なのではないかなと思うんです」(細川さん)

私たちの日々の買い物は、小さいけれど確かな応援の一票。納得できる仕事と思ったら、継続して買い続けることで、間接的に未来を変える力もあるのかもしれない。

人参の仕分けをする和加奈さん。数 や大きさをなるべく均等に。
玉ねぎの状態を確認しながら荷造り の準備をする泰運さん。

『クロワッサン』931号より

●細川亜衣さん 料理家/熊本市内の泰勝寺にて、県内の有機野菜生産者を集めたマルシェを月1回開催。この秋に、50品ほどの野菜のレシピ本をリトルモアより出版予定。

●高田和加奈さん、泰運さん たから農園/東京から熊本県宇城市に移り住み、農業を始めて4年目。農薬や化学肥料を使わない野菜を、全国への宅配や直売所などで販売。

細川亜衣さんと食について考える。①はこちら。

細川亜衣さんと食について考える。②はこちら。

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