端正なボンボンショコラを一粒、口に入れると、封じ込められた素材の味や香りが生き生きと広がり、いつまでも余韻が続く。日本人ショコラティエが作る、芸術品のようなショコラが今、世界を魅了している。
兵庫・三田に店を構える『パティシエ エス コヤマ』の小山進さんは、2011年、毎年パリで行われる世界最大のチョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ」に初出展。以来、フランスで最も権威のあるショコラ愛好会「C.C.C.(セーセーセー)」の格付けで6年連続最高位を獲得している。
「もともと世界に挑戦するという気負いはなく、日本人として備えている美意識やものづくりの丁寧さ、独自の食文化などを発表しに行ってみようという気持ちでした。けれど、フランスで修業したわけでもない僕の、子どもの頃から日本で培ってきた味覚が評価されたことには、大きな意味があったと思います」