芝田山康さんの生家は北海道芽室町の農家。小豆や、砂糖の原料になるビートも収穫できた。
「盆暮れは必ず小豆を炊いて、自家製のこしあんでおはぎやあんころ餅を作ったものです」
理想は淡い藤色で、喉越しのよいもの。原点は母方の祖母が作ってくれた水羊羹だ。
「あの味と質感に相通じるのが『小ざさ』。固すぎずソフトすぎず、いい頃合い。九州の砂糖街道を旅する番組で訪ねた『村岡総本舗』の羊羹も、表面はシャリシャリだけど内側は実になめらか。小さい頃から馴染みのある『六花亭』の白樺羊羹も、味わううち舌でサラリと溶ける感じがいい」
うまいと思った羊羹は誰かに食べさせたくなって手土産にすることも多いと芝田山さん。その白眉となるのが、『とらや』の羊羹だ。
「重いけどうまい! さすが老舗。誰もが納得の味わいです」