福澤朗さんにとって豆大福は、
「日常的なおやつの代表格。毎日こつこつあんを炊いて餅をつき、さらに甘みと塩気のバランスをはかって豆を加える。和菓子職人の謙虚な仕事ぶりを最も身近に感じられるお菓子だと思います」
自身のなかでは、豆大福は2つの系統に分かれるという。
「粒あんを使い、豆の塩気も強めのものを僕は“カントリー系”と称しています。全体的に素朴な印象で、筆頭は『群林堂』の豆大福。“大福豆”と呼びたくなる豆の量で、食べごたえは重量級です。『浅田家和菓子店』の豆大福も、弾力のある餅に豆が美しくちりばめられ、あんも甘みがきいて力強い。『つる瀬』のものは、硬めに炊いた粒あんで懐かしい味わいです。名古屋で出合った『山田餅本店』の豆大福は、コシのある餅に負けないボディのある粒あんが絶品でした」