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柚木麻子さん「私の新刊『BUTTER』も経済小説だと知ってびっくり」

今まで避けていたという経済小説を手に取った柚木麻子さん。『トヨトミの野望 小説・巨大自動車企業』を読んでそれまでの認識が新たになったようです。
  • 撮影・千葉 諭、岩本慶三(柚木さん) 文・一澤ひらり

「経済小説が苦手」という作家・柚木麻子さんに、東京経済大学学長の堺憲一さんがおすすめの経済小説をセレクト。ラインナップは以下の通り。

『トヨトミの野望 小説・巨大自動車企業』梶山三郎

モデルは世界企業トヨタ。社長に就任した武田剛平は、「わがトヨトミも、前例、伝統、成功体験の墨守、憧憬は破滅への第一歩だ」と言ってはばからない人物。経済記者が描いた巨大の凄まじい過去・現在・未来とは?(講談社 1,700円)

『本日は、お日柄もよく』原田マハ

スピーチライターという仕事の極意がわかるとともに、「スピーチ指南書」としても役立つ。主人公のOL二ノ宮こと葉は、人前で話すことが大の苦手。伝説のスピーチライターの弟子になることで一人前に成長していく。(池間書店 648円)

『辞めない理由』碧野 圭

主人公の七瀬和美は、大手出版社の女性誌の副編集長。いい業績を残しているにもかかわらず、突然降格の憂き目にあう。しかし、どうしようもない閑職に追いやられて初めて気づいたのは、仕事に対する「真の愛着」であった!(実業之日本社 593円)

『そうだ、星を売ろう』永井孝尚

長野県阿智村で起きた実話に基づくビジネス物語。温泉旅館で働く諸星明は、衰退する温泉郷の立て直しに「コトづくり」を軸にした新しいビジネスモデルを構築していく。地域・組織の活性化を考えるとき、大いに参考になる。(KADOKAWA 1,400円)

『ガール』奥田英朗

部下となった年上男性社員との距離感、マンションの物件探しがもたらす心境の変化、若さとの訣別、ワーキングマザーの悩みなど、30歳代の働く女性がごく普通に直面するいろいろな局面・難題が浮き彫りにされる。(講談社 552円)

「私が書いた『ランチのアッコちゃん』も新刊の『BUTTER』も経済小説になるんですね。ちょっとびっくり!」経済小説とはビジネスマンがビジネスの参考に読む企業小説のことかと思っていた柚木麻子さんだったが、今回の経済小説を推薦してくれた堺憲一さんによれば、「世の中と仕事とおカネと暮らしに関わる小説の総称」というではないか。

「普段読まない本が読めそうと思っていたんですけど、リストを見たら『本日は、お日柄もよく』『辞めない理由』『ガール』の3冊はすでに読んでいたんです。言われてみれば仕事や暮らしはお金に関わっているから経済なんですね。そう考えると経済小説って身近にたくさんあったんだって、目からウロコ! 認識が新たになりました」というわけで柚木さんがリストの中から選んだのは、本格的な経済小説『トヨトミの野望』。柚木さんが苦手意識の強かった企業小説で、巨大自動車企業「トヨトミ」を舞台に、権力闘争やその内幕を描き、ビジネスマンを中心に売れている本だ。

『トヨトミの野望 小説・巨大自動車企業』梶山三郎 講談社 1,700円

「誰もが知っているトップ企業がモデルなんだろうなって思わせる設定で、話にリアリティがあるんですよね。日本の自動車産業の実情がよくわかるだけでなく、ドラマのような展開で、すごく面白く読めるんです。著者が覆面作家なので、どの立場にいた人が書いたのかも興味深いところですよね。かなり実話に近いエピソードもあるみたいだし」

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