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【前編】翌朝に疲れを残さない、胃にも腸にもやさしい献立。

日々の疲れやストレスで、胃腸が弱り気味の人も多いのではないだろうか。消化器官にやさしく、効果的な献立を考えました。
  • 撮影・岩本慶三 文・大澤はつ江

年齢を重ねるごとに「夕飯を食べると胃もたれがする」、食べ過ぎたわけではないのに、翌朝、目覚めると「胃が重い」「お腹が張っている」など、消化器官に不調を感じることも多いのでは。

管理栄養士で、シェフでもある堀知佐子さんに尋ねると、

「胃の消化能力が低下してくるのが40代。若い頃と同じような油分の多い食事では胃に負担がかかり、疲れさせてしまいます」

だからといって、軟らかくて消化のいい料理ばかり食べていると、肝心の栄養が不足し、パワーが出ない身体になってしまう場合も。

「胃が消化しやすい食材に、消化を促す成分を含む食材をプラスした食事を取ることが大切です。そうすれば、腸にきちんと栄養が届き、健やかな身体が保てます」

では、献立を考えるうえで押さえるべきポイントはなんだろうか?

「まず、消化のいい食材を選ぶことです。脂肪が少ないほうが胃に負担をかけず、速やかに消化ができます。豚モモ肉や鶏ムネ肉は脂肪分が少なく、低カロリーでしかも高タンパク質の食材。栄養も充分にある。魚なら白身魚を。鯛、鱈、鰈などをおすすめします」

それらに消化を促す成分を含む食材を組み合わせれば胃の疲れが少なくてすむ。

「消化酵素のキャベジンを多く含むキャベツ。ジアスターゼが多い大根。長芋もすりおろすとジアスターゼが増すので取り入れたい食材です。これらには食物繊維も豊富なので腸内環境も整います」

調味料や調理方法も重要なポイントだと、堀さん。

「砂糖はなるべく使わず、発酵食品の味噌、醤油、酢で味を調えます。発酵食品は腸の活動を活発にし、便秘などの改善にも役立ちますよ。油で炒めた料理はどうしても胃にもたれてしまいます。もちろん油分は身体にとって必要なものですから摂取は大切です。でも、夕食に高カロリーな揚げ物を食べると、胃が消化しようと活発に働き、結果、翌朝、胃が重いことも。昼食で取ったほうが身体のエネルギー源となり効果的ですね」

そして、胃壁を守るには温かい料理を献立に組み入れるといい。

「胃が冷えてしまうと働きが鈍くなり、消化しにくく、胃の疲れを増進させてしまいます。身体を温める作用のある生姜を味のアクセントに使うだけでも違います。また、オクラや納豆などネバネバ成分が豊富な食材は胃壁を守り、腸内環境も整えてくれますから積極的に取り入れてください。消化器官だけでなく身体を健やかに保つには、バランスのいい献立が重要ですね」

【消化を促す食材】

大根・・・消化酵素ジアスターゼが働き、胃もたれなどを防ぐ。おろすと効果大。

玉ねぎ・・・玉ねぎに含まれるオリゴ糖が腸内環境を整える。プラス血液もサラサラに。

キャベツ・・・キャベツの成分キャベジンは過剰な胃酸の分泌を抑え、胃粘膜を修復する効果も。

【消化のいい食材】

白身魚・・・脂肪分が少なく、負担をかけずに消化される。鯛、鱈、鰈などが最適。

鶏ムネ肉・・・低カロリーで高タンパク質。皮付きでないほうがより消化されやすい。

豚モモ肉、豚ヒレ肉・・・脂肪分が少なく、消化がいい。タンパク源になる。

豆腐・・・大豆自体は消化がされにくい食材だが、豆腐に加工することで消化が早くなる。

【胃腸を健やかにする食材】

舞茸・・・β-グルカンを多く含み胃腸を健やかに保つ。免疫力アップにも効果を発揮する。

生姜・・・冷えは消化吸収能力を低下させるので要注意。生姜には胃腸を温める作用があるので取り入れて。

消化吸収を助ける食材を組み合わせたバランスのいい献立。

(右上から時計回りに)鯛の酒蒸し舞茸添え、豆腐の生姜仕立て、白飯、春キャベツと大根のさっと煮

白飯を茶碗に軽く1杯と、鯛の酒蒸し、キャベツのさっと煮をおかずにした和の献立。鯛などの白身魚は脂肪が少なく、消化もいい。蒸すことでさらに脂肪分が落ち、胃に負担がかからない。すまし汁に片栗粉をプラスすることで上質なデンプン質が摂取でき、さらに胃を温める作用も。さっと煮のキャベツには、胃酸の過剰な分泌を抑え、消化を促すビタミンU(キャベジン)が豊富に含まれる。水溶性で熱に弱いが、さっと火を通しているだけなので大丈夫。大根は糖質の消化を助ける食材。ご飯と合わせると効果的。

【鯛の酒蒸し舞茸添え】

材料(1人分) 鯛切り身1切れ、酒大匙2、舞茸⅓パック、塩少々、レモン汁小匙2、浅葱2~3本

作り方 ①耐熱容器にほぐした舞茸を半量入れ、上に鯛をのせる。さらに残りの舞茸をのせ、酒と塩を振りレンジにかける(600W・2分)。②鯛に火が通ったら器に盛り付けてレモン汁をかけ、小口切りにした浅葱を散らす。

【豆腐の生姜仕立て】

材料(1人分) 絹ごし豆腐50g、だし汁200㎖、水溶き片栗粉大匙1、おろし生姜3g、薄口醤油小匙1

作り方 ①鍋にだし汁と賽の目に切った豆腐を入れ火にかける。沸騰したら火を弱め、薄口醤油と水溶き片栗粉を加える。②とろみがついたら椀によそい、おろし生姜をのせる。

【春キャベツと大根のさっと煮】

材料(1人分) 春キャベツ50g、大根50g、だし汁150㎖、薄口醤油小匙1、三つ葉少々

作り方 ①大根は皮をむき薄い半月切りに、キャベツは5㎝角に切る。三つ葉はざく切りにする。②鍋にだし汁と大根を入れ火にかける。沸騰したらキャベツと薄口醤油を入れ、さっと煮る。③器に盛り、三つ葉を散らす。

『クロワッサン』949号より

●堀 知佐子さん ブラッセリー・ル・リール シェフ、管理栄養士/「食べ物が身体を作る」をコンセプトにメニューの開発を行う。著書に『健康と美容に役立つ! オイルの賢い使い方』など。

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