【青木武紀さん】日々の家事を一手に担う、主夫たちの言い分とは。
撮影・岩本慶三 文・嶌 陽子
家を空けるときには、ワンプレート式の夕食を前もって準備。
最近、便利な掃除機を買ったという青木武紀さん。自宅にお邪魔すると、実物を見せながら熱く語ってくれた。
「軽くて吸引力もばつぐん。ゴミ受けのメンテナンスもすごく楽だし、コードもするっと収まるんです」
店で試してから購入を決めたという。見た目やブランドに惑わされず、自分にとっての使いやすさを重視する視点はさすが、20年近い主夫歴の賜物だ。
1999年に漫画家の桜沢エリカさんと結婚以来、ずっと家事を担当してきた青木さん。2人の子どもは18歳と16歳になり、生活も変わってきた。子どもたちがだいぶ手を離れたため、友人のカレー店を手伝うように。昨年夏からはベビーシッターの仕事も始め、すでに引っ張りダコだそうだ。
「シッターの仕事は夕方からなので、その日は出かける前に夕食を作っておきます。子どもたちも最近は帰宅時間がばらばら。だからキーマカレーやガパオライスなど、手軽に温め直して食べられるワンプレートものが主流です」
料理は家事の中でも得意分野で、レパートリーも多い。米はいつも土鍋で炊いて、炊飯器は保温用に使うだけ。一方、調味料の進化にともなって、省略できる工程も出てきた。
「わざわざだしを引かずに、『茅乃舎』のだしパックを使うことも多い。野菜だしの袋の中身を出して、スープやパスタの隠し味にすることもありますよ」
「家事の裏技」には興味なし。自分流に、気楽に続ける。
「前にぎっくり腰になった時、あらためて思ったんです。掃除機がけとか洗い物とか、家事って何をするにも腰を使う。本当に体力が必要ですよね」
長年続けてきても、家事は難しいと思うことが多いという。
「でも、テレビでよくやってる“家事の裏技”を気にしたことはないです。あまり追求しすぎない。パーフェクトじゃなくてもいいかなって」
マイペースで取り組んできた家事は、もはや心臓を動かすのと同じ。苦に思ったことはない。
「疲れて何もしたくない時でも、家族に『お腹空いた』と言われると、ごはんを作っちゃう。それが家の中での自分の役割だと思っているんです」
〈青木さん流、主夫生活のアイデア〉
こだわりの調味料や 調理道具の数々。
栄養バランスや冷蔵庫の 在庫を考えて献立を決める。
青木武紀(あおき・たけのり)●主夫。1968年、長野県生まれ。東京・西麻布のクラブ店長兼DJを経て結婚。著書に『青木パパの育児伝説』(祥伝社)。
『クロワッサン』991号より
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