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夫のモノが散らかる元凶?ストレスフリーの対処法とは!?【前編】

家族がいる場合、自分一人だけが片づけても、空間はスッキリとはいきません。夫や子どもと、揉めずに片づけるコミュニケーションとは。
  • 撮影・森山祐子 ヘア&メイク・伊藤千栄子(藤田さん) 文・板倉ミキコ
「夫は、私がボケないように 片づけないと言っています(笑)」と女優の藤田朋子さん(左)。

部屋が片づかない原因になりうるし、相手が片づけてくれない状況が続くと、イライラのもとにもなる〝夫のモノ〞問題。今回は読者のアンケートによる、夫へのリアルな怒りや嘆きを踏まえつつ、女優・藤田朋子さんが、知的家事プロデューサーの本間朝子さんに、片づけ問題の賢い解決法を聞きます。

藤田さん(以下、藤田) 昨日この取材の内容を話したら、夫から言づかってきたことがあるんです。「僕は、片づけられないんじゃなくて、君のために、君がボケないために片づけないでいるんだってことを伝えて」と(笑)。

本間さん(以下、本間) なるほど、そうでしたか(笑)。

藤田 確かに、独身時代の彼の部屋は片づいていたし、今でも自分のスペースは彼なりのルールで、きちんと整理整頓はされているんですよ。ただ、リビングや寝室など、共有スペースはてんでダメ。この間も、私が芝居の公演があって1カ月家を留守にしていたんですが、リビングを開けた瞬間、ソファの周りだけで生活していたんだねっていうのがよくわかるくらい、ソファの周りにゴミを詰めたレジ袋が、何個もまとめて放置されていたんです。キッチンには、ペットボトルが何十本もうわーって並んでいる有様。キャップは取ってあって、ラベルもなんとなく剥がしてある……。もうひとおし頑張って捨てればいいのにって思うんですが。「ゴミはまとめてみた、ボトルのキャップは取ってみた。僕はちゃんとやってるぞ」ってアピールをすごく感じて、なんだか笑ってしまいました。

本間 怒りにはならないんですね。

藤田 喧嘩してもしょうがないですしね。まあ、彼なりに頑張ってくれたんだなって思える範囲だからいいんです。

本間 ご主人のものでなんとかしてほしい、と思うものはありませんか?

藤田 やはり置きっぱなし、脱ぎっぱなしが多いのは困りますよね。一応我が家では床に落ちている衣類は洗濯してねというアピールだと決めてはいるんですけど。洗濯してから「まだ着るつもりだったのに」って言われることもあります。彼なりの基準があるから、勝手にこちらが決められないんです。最近は、5〜6枚洋服が重なって置かれていたら、下の2〜3枚は洗っても大丈夫、ということにしています。でも、基本的に彼の領域は任せています。彼なりのルールがあるんだから、あまりいじっちゃいけない、と思っているんです。ただ、スペースから溢れてしまうものについては、彼に確認してもらい整理を促します。「私も服を整理しようと思っているんだけど、そっちはどう?」って。彼は、着心地を重視していて、お気に入りを捨てられないタイプなんです。SからLLサイズまでずらっと揃っていて。正直言えば、もうSなんて絶対着られないでしょって思うんですよ(笑)。なのに「痩せたら着るからとっておく」って。

本間 あ~(笑)。いつか必要になる、と言って捨てない人は多いですよね。思い出の品物も、本人の気持ち次第だから、なかなか周囲が捨てさせることはできません。でも、藤田さんのように「私も整理するんだけど」と片づけを一緒に行う提案をしたり、本人に要不要を判断させるやり方はとてもいいと思います。二人の共同作業として行うと、前向きに行動できますからね。

Q.夫や子どもの持ち物が、家を片づかなくさせる原因になっている、と思いますか?

想像していたより「はい」の割合 が少ないと感じる結果に。「自分 も散らかしているから、と思う 人がけっこういたのでは」と藤 田さんが分析。夫ばかりを責め きれない、という心境なのかも。

夫の動きをしっかり観察して、 本人が片づけやすい場所を設ける。

藤田 ほかに困るのは、彼が大好きな雑誌。どうやっても自分の部屋に持って帰ってくれず、いろんな共有スペースに置きっぱなしにしていたんですよ。だから、リビング、トイレ、ベッドルームすべてに、雑誌用のケースを置くことにしました。ここに入れるんだよって言っておけば、一応しまってくれます。そして、そこからはみ出す量になった時に、どうするかを聞きます。

本間 それは大事。リビングなどの共有スペースはくつろぐ場所だから、ごちゃごちゃする個人のものは持ち込まないのが基本のルール。でも、随時使うものであれば箱などを設けて、この範囲なら許しましょうと緩く設定してあげるのも一案です。暮らしているんですから、そんなガチガチなルールで縛れない部分もありますよね。例えば、リビングに家族銘々のボックスを用意して、そこにニックネームなどで、この箱は〝朋ちゃんスペース〟と名付けてみる。「片づけて」って頭ごなしに言われるより、「朋ちゃんスペースに入れておいて」と言われるほうが、相手も素直に行動に移せますよね。

藤田 我が家ではほかにも、銭湯にあったアンティークの下駄箱を収納棚として使っています。それぞれナンバーが入っているので、彼には「21番」を使ってもらい、「片づけられたら困るものは21番に入れてね」って

本間 いいですね。収納に遊び心があると、片づけるのが楽しくなるし、片づけに誘導するのもラクです。それから、常識に捉われず、相手の動線に合わせて、物を置きやすい場所を設定する、というのも解決方法としてオススメです。「何度言っても夫がスーツや鞄をリビングに置きっぱなしにする」という相談を受けたことがありますが、ご主人の動線を見ると、疲れて帰ってきて2階の寝室に行くより、1階のリビングで着替えたほうがラクなんです。そこで、玄関近くにちょっとしたご主人コーナーを作って、そこに置いてもらったらどうかと提案し、解決に至りました。そこに上着をかけたり、鞄を置くようにしたら、ご主人も帰宅後の儀式のように感じて、気分よくやってくれるようになったそうです。

「共有スペースは、 個人のものが集まると 煩雑になる原因ですね」と本間さん。

藤田 我が家も、毎回毎回お風呂に入るたびに夫が「パンツは?」「靴下持ってきて」となるので、下着類は全て洗面所に置くようにしたら、私の面倒が減りましたね。ほかにも、彼はスポーツ選手がよく手首に巻く、シリコン製のブレスレットをつけているんですけど、いろんな場所に置き忘れて、出かけるたびに「どこ、どこ」となっていたんです。そこで小皿を用意して「専用の入れ物だからここに置いてね」と伝えたら、なくさなくなりました。

本間 ご主人の動きをよく観察して、片づけの仕組みを作ってあげるのがとても上手ですね。よく観察すれば、片づけられない原因が見えてきます。

「夫の雑誌一時置き場に、 3カ所もボックスを 用意しましたよ」と藤田さん。

藤田 確かに。うちも面倒くさいとやってくれないので、できるだけ簡単な仕組みを考えるようにしています。ハンガーにはかけてくれないけど、フックにしたらかける、とか。一度失敗したのは、玄関に鍵と印鑑を一緒に入れておける入れ物を用意したんですが、いつも鍵か印鑑のどっちかが外に出ていたんですよね(笑)。理由を聞くと「鍵を持ち上げると印鑑も一緒に出てきちゃうのが嫌だ」と言われたので、別々の入れ物にしました。私は一緒のほうが便利だし、見た目もスッキリするとは思うけど、夫が片づけてくれなければ仕方ないので。

本間 自分の理想やルールを押し付けず、修正していく力も必要ですよね。片づけは、夫一人で何でもできるようにしないといけませんので、相手にわかりやすいように整理するのが大事なんです。私が大切にしている、トヨタ自動車の考え方があるんですが、「物事がうまくいかない時は、人を責めないで仕組みを責めろ」と。相手がきちんと片づけてくれないと、つい責めがちですが、合理的に片づけられる仕組みを作ればいいだけなんですよね。

『クロワッサン』934号より

●本間朝子さん 知的家事プロデューサー/家事の効率化に役立つメソッド「知的家事」を考案。新刊『写真でわかる! 家事の手間を9割減らせる部屋づくり』(青春出版社)も好評。

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