くらし

住む人が「食べること」と「作ること」をどう考えているかで、台所はきまります――編集部

1977年創刊、40年以上の歴史がある雑誌『クロワッサン』のバックナンバーから、いまも心に響く「くらしの名言」をお届けする連載。今回は台所特集の言葉から、時代の趨勢を読み取ります。
  • 文・澁川祐子
1977年10月号「台所アイデア集」より

住む人が「食べること」と「作ること」をどう考えているかで、台所はきまります――編集部

使いやすい台所は、料理する人なら誰もが望むところ。台所の使い勝手を考える特集では、ちょっとしたアイデアはもちろん、台所の設計そのものにも焦点を当てています。

I型、L型、U型といったよくある配置のメリット、デメリットを、事例を交えながら解説。今ではさほど珍しくなくなったアイランド型を<型破り>と表しているところに、時代を感じます。

さらに話題は、家のなかのどこに台所を位置づけるかという問題へ。そこで出てきたのが、<「食べること」と「作ること」>のとらえ方によって、台所の位置が決まってくるというこの言葉です。

誌面では、<わき目もふらずに料理したいなら独立型>、<皆のお喋りの中にいたいならD・K型>と結論。LDK型は、満足のいく広さを確保するのがむずかしい、台所が丸見えといった理由から、推奨はされていません。

ひるがえって今の時代。マンションや戸建ての間取りを見ると、ほとんどがLDKタイプです。そこに<「食べること」と「作ること」>に対する人々の変化が見てとれます。

土間という切り離された空間から、食べる場と一緒になったダイニングキッチンへ。さらにくつろぐ場とも一体化し、住まいの中心へとどんどん進出する台所。それはとりもなおさず、料理すること、食べることが暮らしのなかでより重視されるようになったことを反映しています。

※肩書きは雑誌掲載時のものです。

澁川祐子(しぶかわゆうこ)●食や工芸を中心に執筆、編集。著書に『オムライスの秘密 メロンパンの謎』(新潮文庫)、編著に『スリップウェア』(誠文堂新光社)など。

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