何度も風呂にガスを充満させて爆発させる芸術家気質の祖父。店を切り盛りする祖母は何度正しても孫娘の名前を覚えない。バイク好きの趣味人で遊び人の父。堅実な家庭で育ちながら婚家の環境のなかで金銭感覚を失い、子どもに借金を申し込む母。そんな大人に振り回される猫沢さんと弟たち。
「7、8歳の頃から親に潰されてはいけない、早く自立してまっとうな人生を歩こうと思っていました」
祖父は得意の書がひらめいたと夜中に文具店主を叩き起こす。父は突然家に愛人を連れてくる。エピソードの振り幅の大きさに、可笑しいけれど、笑っていいの?と時に困惑する。しかしいつも猫沢家の人々は笑っている。だからこちらも、きっと笑っていいんだ……な。