くらし

災害時のトイレ問題、どう備えればいいですか?

危機管理アドバイザー・国崎信江さんに教わる、基本の防災術。
災害時に慌てないために、覚えておきたい知識をお届け。
  • 撮影・黒川ひろみ イラストレーション・山口正児 文・一澤ひらり

水が流せなくなったらどうする? 最悪を回避するには備えを万全に。

Q1.災害時にトイレを流してはいけないと聞きましたがなぜでしょうか。また、どの時点で水を流さない判断をすればいい?

A.大規模災害の時は排水管が損傷するので流せない。

大きな地震が起きたら、マンションでは排水管や下水管が破損しやすく、汚水が逆流する恐れがあるため、トイレは流さないのが鉄則。例えば2階の自分が流さなくても3階の人が大丈夫だろうと流したら、2階の天井一面に汚水が漏れて、天井からポタポタ落ちてくる、なんてことも。この状況は絶対に避けたいですね。

ではいつ水を流さない判断をするのかというと、建物が壊れる大きさの地震が起きた時。その時は断水、停電も目安になります。水が流せない時のために、災害用トイレ、除菌シート、消臭剤など、代わりになるものを用意しておきましょう。

大地震が起きたらトイレを流さない。それだけでなく、家じゅうの排水も厳禁。そのことを肝に銘じよう。

Q2.災害用のトイレはどれぐらい備えればいいですか?

A.1日のトイレ平均回数×10日分の用意を。

1日のトイレ回数が8回なら、8回×10日分で80袋。これに家族の人数を掛け合わせてストックします。日本人のトイレ回数の平均は1日5~8回といわれていますが、朝起きてから寝るまで自分が何回トイレに行くか、一度数えてみてください。その回数をもとにすれば必要数がわかります。災害下での緊張や体調不良などもあるので、なるべく多めに用意しておくのがいいと思います。

災害用トイレでおすすめはサニタクリーン(下写真)。袋の底に大判シートが貼りついた吸水凝固シートタイプで、使用方法も簡単。細かいところまで使い勝手のよさが考えられています。

災害用トイレの使い方。1.便座の下にゴミ袋をかぶせる。2.災害用トイレをセット。3.用を足したら、トイレの袋を取り出す。4.袋の空気を抜き、口を縛る。
サニタクリーン

サニタクリーン簡単トイレ1枚入275円(総合サービス TEL.0120・980・329)

Q3.トイレに備えておくべきものを教えてください。

A.停電や断水時に清潔を保つためのアイテムを。

激震でドア枠が歪んでしまうと、開かずに閉じ込められる危険性があります。地震ではトイレのドアをすぐ開け、早めに廊下に出ましょう。また、停電、断水すると水が流せないだけでなく、手も洗えません。除菌シートや消臭剤など、衛生環境を整えるために下リストのような準備が必要です。

〈トイレ備蓄品リスト〉

■ トイレットペーパー
災害用トイレと併せてトイレットペーパーは必需品。経済産業省は災害時に約1カ月分の備蓄を呼びかけている。

■ 除菌シート
断水時は手を洗うことができず、不衛生になりがちなので、除菌シートは清潔を保つためにストックを。

■ 消臭剤
災害時の停電や断水で換気扇が回せず、トイレも流せなくなりにおいがきつく、不快になる。におい対策は必須。

■ おしり拭き
停電で温水洗浄便座が使えなくなると、違和感を感じる人も多いはず。おしり拭きがあればきれいさっぱり!

■ ペットボトルの水
トイレに閉じ込められた場合など、不測の事態に水があれば命をつなげる。笛やライトがあると、さらに安心。

国崎信江

国崎信江 さん (くにざき・のぶえ)

危機管理アドバイザー

危機管理教育研究所代表。防災スペシャリストとして活躍中。著書に『ぼくらの災害サバイバルBOOK』(主婦の友社)など。

『クロワッサン』1100号より

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