自宅で簡単にできる「草木染め」でTシャツを蘇らせる。
撮影・黒川ひろみ 文・松本昇子
使い古したTシャツを新万葉染めで蘇らせる。
右は京の色「墨」、左は京の色「桃色」で染めたもの。天然素材ならではのニュアンスあるやさしい風合いに染め上がった。
シミが付いたり黄ばんでしまった白いTシャツ。すぐ捨てずにひと細工してみよう。ウエスなどとして再利用するほかに、染色して汚れを隠してしまう、という手がある。
ただ、従来の草木染めは、食物の皮や草木を鍋でぐつぐつと煮出したり、色を濃く出すために大量の材料を用意したりと、時間と労力がかかることも確か。そこで挑戦したいのが”新万葉染め”。
天然の原料を用いて微粉砕された粉状の色材をお湯に溶かし、布を浸して染めるだけの新技法。少ない量でも鮮やかに、ムラなく染められるのが特徴的。染料、媒染材ともに自然に回帰するので、環境にやさしい。Tシャツを新しく生まれ変わらせ、身近なところからサステイナブルな活動を始めてみよう。
[ 準備するもの ]
新万葉染め体験キット(濃染前処理剤、色材、媒染材※アルミ・銅・鉄のうちいずれかひとつ)を使用。大きめのバケツ2つ、ゴム手袋、かき混ぜるための泡立て器、染めたいTシャツ。
トライ!
(1)あらかじめTシャツの汚れを洗濯用洗剤でしっかり落としておく。バケツに濃染前処理剤と湯(50〜60度。生地の重さに対して約30倍の量)を合わせる。
(2)泡立て器で混ぜ溶かした濃染前処理液にTシャツを30分間浸す。これで生地の吸収力がよくなり、全体がナチュラルに染まる。
(3)30分後、Tシャツを湯から取り出し、しっかりと水洗いして水気を絞る。水分を抜くことで染料が均等に入り込むので、ムラなく染めるために脱水は重要。
(4)染色液と媒染液を作る。どちらも生地の重さに対して30倍の量の湯で溶かす。少量の湯で溶かしてから水を混ぜるとよい。
(5)ゴム手袋をしてTシャツを染色液に入れ、5分間、染色液の中でゆっくりと泳がすイメージでかき混ぜると、生地の内部までしっかりと染みわたる。
(6)5の工程で一番ムラができやすい。ムラを防ぐために、生地を広げながら隅隅を確認する。生地に付着した泡があれば取り除く。
(7)染色液からTシャツを取り出し、しっかりと絞ったら媒染液に入れる。1分間浸しながらかき混ぜる。この工程で色を定着させ、発色をよくする。
(8)媒染液から取り出してよく絞ったら、もう一度染色液に戻す。5分間しっかりと浸しながらゆっくりとかき混ぜる。ここで着色が完了。
(9)Tシャツを取り出し、中性洗剤で色が出なくなるまで(4回程度)湯洗いする。その後、洗剤もしっかりと洗い流して脱水、乾燥させれば完成!
『クロワッサン』1043号より
広告