ふとした時間を豊かに過ごす、ドリップコーヒーの淹れ方。
撮影・馬場わかな 文・松本昇子
ドリップコーヒーをゆったり淹れる。
「昔から喫茶店でコーヒーを飲みながら過ごす時間が好きだった」という高橋美賀さん。パリのアパルトマンを思わせるような小さな店で、コーヒーサロンを営んでいる。
「本を読んだり、考えごとをしたり。そんなささやかな大人のひとり時間を提供できる場所を、自分でも作りたいと思ったんです」。
自宅でも目覚めに、気持ちの切り替えに、リラックスにとコーヒーを飲む。でも実は、ドリップする行為が一番好きだという高橋さん。
「道具も多いし、手順も面倒だと思うかもしれませんが、淹れる工程を楽しんでほしい。忙しない朝には気付かなかった、豆をミルで挽いたときの強く立ち上る香りや、コーヒー粉が蒸らされて膨らむ様子など、意外な発見があると思います」
「ドリップセット、ポット、ブレンダー、カップなどの道具をトレイにまとめておくと便利です」
トライ!
(1)深めのスプーンに2杯半(約25g)の豆を電動ブレンダーに入れて上下にシェイクし、挽き具合を確かめながら10秒間細かく砕く。紙のフィルターの場合は中挽きに。
(2)沸騰させた湯をドリップ用ポットに移し替える。1分ほど待つと、ちょうど90度くらいに下がる。「このひと手間で温度の調整もできるので、ポットはあると便利」
(3)湯を3まわし(下に落ちてこないくらい)して一旦蒸らす。おおよそ1分。少しずつ気泡が表れ、豆はマットな質感になる。「粉が膨らむ様子もおもしろいですよ」
(4)2投目からはゆっくりと小さい"の"の字を描きながら3まわし。点滴のようにぽたぽたとサーバーに落ち、ふくらみが沈んだらお湯を足す、を繰り返す。
(5)ポットの湯を空のカップに入れて器を温めておく。「最適な温度で飲むために必要な工程。軽く温まったらコーヒーを注ぐ前に捨ててください」
(6)5分くらい淹れると、たっぷり1杯分。
「5分程度の好きな曲を流しても」。自身のお気に入りはくるりの『ばらの花』と奥田民生の『イージュー★ライダー』。
『クロワッサン』1043号より
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