くらし

漆の代わりに合成樹脂でぐっと手軽、簡易金継ぎのやり方。

日々の隙間に少しだけできた、自分だけの時間。ゆったりと心が満たされるような使い方を考えてみました。
  • 撮影・黒川ひろみ 文・松本昇子

簡易金継ぎした器で食卓に新たな彩りを。

真鍮粉を施して、金色のアクセントがついた器。欠け方によって模様も様々なので、世界にたったひとつの器ができあがる。

お気に入りのマグや皿にひびや欠けができ、割れてしまった。捨てるのは忍びない、もしくは同じものがもう手に入らない。

そんなとき、気軽に金継ぎができたら!

そもそも金継ぎは、破損した器を本漆で接着し、継いだ部分を金などの金属粉で装飾しながら直していく、日本の伝統的な修復方法。通常は、完成までに1週間から1カ月程度かかるといわれる。漆は天然素材で耐久性も高いが、使用は難易度も高く、ときに肌がかぶれる心配も。

その点、簡易金継ぎなら、漆の代わりに合成樹脂を使用するため、ぐっと手軽に。作業にかかるのはおおよそ1時間。金色の模様がちょっと歪んでしまっても、そこはご愛嬌。ひびや欠けによって生まれる、新しい器の風合いを楽しんで。

[ 準備するもの ]

簡単金継ぎスターターキット(面相筆、絵皿、耐水性紙やすり#400、エポキシ接着剤、エポキシパテ、金粉〈真鍮粉〉、銀粉〈アルミ〉、テレピン油、合成樹脂、説明書入り)/ 5,500円(金継ぎラウンジ kintsugi-lounge.shop

トライ!

(1)器の欠けをチェック(割れの場合は破片の断面を接着剤でつけた後にマスキングテープで固定し、固まったら5以降の作業を)。小さな欠けはパテで埋めていく。

(2)パテを必要な分だけ輪切りにする。2色の比率が変わると固まりにくくなってしまうので、垂直に切るのがポイント。今回の欠けの場合は2mm程度で充分。

(3)2色が完全に混ざるよう、15秒ほど練る。完全に混ざると、5〜10分で固まり始める。肌が敏感な人は、ビニール手袋などを使って練るとよい。

(4)完成形をイメージしながら、欠けている部分がちょうど埋まる程度のパテをつける。多すぎると、のちほどヤスリで削る作業が大変になるのでここは慎重に。

(5)30分以上置き、パテが固まったら、サンドペーパーに水を含ませながら表面を研いで滑らかにする(はみ出しが大きい場合、まずカッターなどで粗削りを)。

(6)絵皿にテレピン油(薄め液)をスポイトを使って1滴たらし、真鍮粉を適量振り出して、筆で混ぜ合わせる。欠けの場合はほんとうに少量で充分。

(7)溶かした真鍮粉に対し、1:1の割合で合成樹脂をたらす。合成樹脂は爪楊枝などを使って出すと便利。筆で混ぜ合わせながら、描きやすい濃度を調整する。

(8)欠けを埋めて滑らかにしたパテの部分に、ていねいに金色をのせていく。はみ出してしまったら、綿棒などにテレピン油を染み込ませたもので拭き取る。

(9)充分に乾かして、約1日置けば完成。金継ぎしたあとは、電子レンジや食洗機、オーブン、直火などの使用はできなくなるので注意。

『クロワッサン』1043号より

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※ 記事中の商品価格は、特に表記がない場合は税込価格です。ただしクロワッサン1043号以前から転載した記事に関しては、本体のみ(税抜き)の価格となります。

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