手の込んだ料理は作らない。具だくさんのスープにパンといった素朴なもののほうが、森の生活にはよく似合う。
「スープはコトコト煮るだけでおいしくできるし、体が温まります。このあたりは別荘地で、近くには地元の人たちが利用するスーパーがあるので、野菜とか生鮮品は調達できます。天然酵母のパン屋さんやデリカテッセンもあるので、家族で散歩がてら買いに行くんです。焼きたてのパンとソーセージ、それに湯気が立ち上るスープがあれば、格別のごちそうですね」
妻で料理コーディネーターの渡辺ゆきさんが地場の野菜をおいしいスープに仕立てる。山好きの両親の影響か、ハイキング部に所属する中学生の娘も時に腕をふるう。
「食器はおもにキャンプ用を使っていて、食べ終わったらペーパーで拭いてきれいにします。洗剤は使わないし、洗い物の排水も出さないようにしているんです。森の中で暮らすと自然との一体感が強まるので、大地を汚さないように考えてしまうんですよね」