約1年前、本誌ダイエット企画で糖質制限に挑戦した、作家の山口恵以子さん。当時はスポーツジムにも週に3回ほど通い、理想的なボディを手に入れた。けれど今年に入り、更年期以来のめまいが再発し、足首を捻挫してジムに通えなくなるなど、トラブルが続発。気づけばお腹周りに肉がつきだし、理想の体型維持の難しさを痛感する日日。元来、胸から下、膝から上に無駄な肉がつきやすいという山口さん。お腹はダイエットをしてもリバウンドしやすく、痩せていても下腹だけポッコリ出てしまう人が多い難敵の部位だから、仕方ないのかもしれないが……。
「腰回りに浮き輪のようにつく無駄肉の原因は、食べ過ぎによる脂肪の蓄積や加齢によるたるみのせいだけではありません。無意識の呼吸グセや、力みなどによる体の間違った使い方で培われた、悪しきお腹のクセが問題なのです」(呼吸整体師・森田愛子さん)
普段、お腹の奥深くまでしっかり使って呼吸していない、浅い呼吸のクセ。さらに、物を取るなどの些細な日常の動作でも息を止めてしまう、力みグセ。呼吸が浅ければ力みやすくなるし、力んだ動作は呼吸を止めてしまうので、浅い呼吸と力みは表裏一体の関係。この悪癖が続くと、肺の下の横隔膜の動きが悪くなり、その影響を受けた周りの胃や腸などの臓器までもが緊張する。結果、臓器の働きが低下して下垂し、下腹がポッコリ出てしまうわけだ。
「私たちは日々、1日3万回ほど呼吸しています。そして、物を取ったり、片づけたり、料理や掃除など、日常の些細な行為は数えきれないほど。でもその行為のたびに力み、息を止めてしまう人が多いのではないでしょうか。浅い呼吸と力みが続けば、上腹はガチガチに硬くなり、反対に下腹がポッコリ出てくるのです」(森田さん)
「実は私、自覚はないのですが、歯医者では食いしばりが強すぎると指摘されましたし、整体の先生にも、体じゅうカチカチに強張っていると言われることがよくあります」(山口さん)
「力みグセや浅い呼吸は酸欠状態を生みやすく血流の滞りをもたらすので、お腹を膨張させるだけでなく、慢性疲労や肩こり、頭痛など、あらゆる不調の原因にもなるんですよ」(森田さん)
山口さんのめまいも、お腹のクセをなくす呼吸法を取り入れれば、改善する可能性大。そこでまずは深い呼吸とはどんなものかを体感してみることに。