からだ

Vol.4 妊娠中でもマンモを受けられますか。【40歳からのからだ塾WEB版】

文・及川夕子 イラストレーション・小迎裕美子

新連載・40代からのからだ塾では、更年期世代(40〜50代)の女性に起こりがちな症状について、原因や対処法をお伝えしていきます。更年期まっただ中にいるライター及川が、医師や専門家に根掘り葉掘り。知っておきたい検査の情報やスクリーニングの考え方なども紹介します。ぜひ参考にしてくださいね!

今回のテーマは、「乳がん検診、自分にベストなメニューを探そう!」です。
40~50歳は、乳がんにかかる人が最も多い年代ですから、定期的に自己触診を続けるとともに、検診も忘れずに受けておきたいもの。
私も先日、マンモを受けてきたばかりです。
自己触診のやり方については、前回のVol.3を参照してください

妊娠中の女性は乳がん検診(マンモグラフィ)を受けられる?

クロワッサン11/25号の誌面では、婦人科医師の土井卓子さんに取材し、「妊娠中でもマンモグラフィ(以下マンモ)を受けられるかどうか?」について紹介しました。
おさらいすると、答えは「受けられる」が正解です。
土井さんによると、マンモは、放射線が胎児に当たることはなく、線量も非常に少ないとのことで、妊娠中にマンモを受けることは可能だそうです。

今は初産年齢が35歳ぐらいから40代前半と年齢が上がってきていて、乳がんの好発年齢とちょうど重なります。出産経験がある人は、ない人に比べて乳がん発症率は低くなるといわれています。それでも、産直後や授乳中に乳がんにかかるリスクはゼロではありません。乳がん検診はきちんと受けておきましょう。

妊娠中、授乳中の乳がん検診のポイントは2つ。
●まず、妊娠の可能性がある人は、妊娠する前に一度乳がん検診をしておくこと。
●妊娠中や授乳中は、超音波検査(エコー)を受けることが望ましい。出産が近くなると乳腺が発達してくるので、マンモではがんがわかりにくくなり、意味がなくなります。

乳がん検診は個別対応が重視される時代に

では、一般的な40代の女性の場合、ベストな乳がん検診とはどのようなメニューになるのでしょう。
土井さんの答えは、「マンモ+エコーを毎年受けられれば理想です」とのことでした。これには、エビデンスがあり、「マンモ+エコー」の有効性については、40代女性を対象にした比較試験「J-START」が参考になります。マンモ単独と比べて、「マンモ+エコー」では乳がん発見率が高くなり、I期の浸潤がんが多く発見できたという報告が出されています。
住民検診では、「40歳以上で2年に1度マンモを受ける」しくみになっていますから、足りない部分は自費でプラスして受けることになりますね。

J-STARTのWEBサイト
http://j-start.org/

さらに、乳がん検診は個別対応したほうがいいケースがあります。
(1)遺伝子異常が関係している乳がん(遺伝性乳がん卵巣がん:HBOC)
(2)乳腺密度が高い「デンスブレスト」という乳房の人
の2つのケースです。

(1)について。
土井さんによると、遺伝子異常のある人は全乳がんの4〜8%であろうと推測されていて、乳がんのほかに卵巣がんにもかかりやすい、両側の乳房にがんができる、がんが多発する、若年齢で発症しやすいなどの傾向が明らかになっています(参考:『乳がんと言われたら読む本』土井卓子著)。

欧米では、BRCA遺伝子に変異がある人の検診手段はマンモではなく、MRIが第一選択となっているそうです。日本でも「遺伝性乳がん卵巣がん」であるとわかった場合の検診は、若い年齢からの自己触診やMRI検査が勧められています。ただし、日本人におけるHBOCの研究は始まったばかりということもあり、現時点でどのような検診を受けるのがベストかは、主治医と相談しながら決めていくことになります。

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