からだ

Vol.4 妊娠中でもマンモを受けられますか。【40歳からのからだ塾WEB版】

自分の乳房が「デンスブレスト」かどうかもチェック

最近、乳がん検診の分野で注目されているのが、(2)の乳腺密度が高い「デンスブレスト(以下デンス)」です。乳腺が発達している乳房はマンモでは真っ白く映るために、がんの判別が難しくなります。つまり、デンスの人は毎年マンモをしていてもがんが見つからない可能性があるのです。

これまでも、若年層は乳腺が発達しているために、マンモよりもエコー検査が適しているといわれてきました。実は40代でも、出産・授乳経験がない方の乳房では、乳腺密度が高いことがあり、マンモ+エコーが推奨されます。
最近では、デンスに適した新しい検査機器も登場しています。
乳房を輪切りにして撮影する「トモシンセシス(3Dマンモ)」や「PEM(乳房専用PET機器)」で、こうした検査を選ぶのも手です。ただ、導入している医療機関が少ないのが難点です。

「Are You Dense?」に学ぼう

アメリカのナンシーさんという女性が始めた運動のことで、「あなたは高濃度(乳腺)ですか?」という意味になります。

ナンシーさんは、毎年きちんとマンモ検診を受け、「異常なし」と言われていたにもかかわらず、あるとき進行がんで乳がんが発見されました。「高濃度乳腺」だったために、マンモでは異常が見つからなかったのです。自分と同じ思いをする女性をへらしたいと、ナンシーさんは、医師が高濃度乳房を患者に告げる必要性を訴え、デンスの診断には超音波検査(エコー)やMRIなどが必要であることを周知させる運動を始めました。その結果、アメリカでは、乳がん検査の受診者に乳腺濃度を知らせることを義務づける州が増えています。

一方、日本でも少しずつでは、ありますが状況が変わりつつあります。「神奈川県鎌倉市では、乳腺専門医師が患者にデンスですと伝える活動をはじめています」(土井さん)
とはいえ、現状日本では、検診のときにデンスブレストかどうか必ず教えてくれるとは限らないので、乳がん検診(マンモ)を受けたら、「異常なし」といわれたとしても、一度は自分から聞いてみることが大切だと思います。「私の乳房はデンスですか? エコーも受けた方がよいですか?」と。

また、現状ではデンスブレストで受診しても、エコー検査は保険適用になりません。デンスであるとわかった人は、自分に合った検診を自分で選んで自費で受けることが、身を守る有効な方法です。

ただし、医療情報や制度は刻々と変わりますから、自分にとってのベストな検診メニューは、今後、変わることがあるかもしれません。
乳がん検診に限らず、ときどきは医療やヘルスケア情報を再確認して、情報をアップデートしておくことが大切だと思います。ネットには古い情報も残っているので、記事はアップされた日付などもチェックした上で読むとよいと思います。

ではまた、次回お会いしましょう。

ご協力いただいた婦人科医

土井卓子さん

湘南記念病院 湘南記念病院 乳がんセンター・センター長
どい・たかこ●治療チームを組織し、患者を中心に全員で支える総合的な乳がん治療を目指す。乳がん手術症例数は千件以上。乳がん啓発のためメディア出演や講演活動も数多くこなす。

ライター、メノポーズカウンセラー 及川夕子
更年期まっただ中のライター。最近、ちょっと休んだぐらいでは疲れが抜けなくなってきて、以前よりもカラダのメンテが欠かせなくなったと実感。とはいえ、カラダの変化をポジティブに捉え、同年代の女性の健康に役立つさまざまな情報をお伝えしていきたいと思っています。ただいま、ヨガやマインドフルネスを実践中。ホルモン補充療法もしてみたい!
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